インドのクリーンテック企業であるグリーンジン(Greengine)と、イスラエルの炭素除去(CDR)企業であるリワインド・アース(Rewind Earth)は11月21日、微細藻類を活用した新たな地下バイオマス貯留手法の開発に向けた提携を発表した。グリーンジンが持つ微細藻類による大量の炭素回収システムと、リワインド・アースが専門とする閉山鉱山などへの生物学的隔離技術を統合し、地質学的スケールでの永続的な炭素除去を目指す。
今回の提携は、産業排ガスなどから培養された微細藻類を、バイオ燃料などの「利用」に回すだけでなく、地下深くに「貯留」することで、大気中からの恒久的な隔離を実現しようとするものだ。これは、近年注目を集めるバイオマス炭素除去・貯留(BiCRS)の一種と位置付けられる。
具体的には、グリーンジンが独自設計したフォトバイオリアクター(光合成培養装置)を用いて効率的にCO2を固定化した微細藻類バイオマスを生成する。これをリワインド・アースの技術を用い、酸素の存在しない(無酸素)地下鉱山や海洋環境に埋設・沈殿させる。酸素を遮断することで有機物の分解を抑制し、CO2の再放出を防ぐ仕組みだ。この手法は、従来の直接空気回収(DAC)などに比べてエネルギー消費やインフラ投資を最小限に抑えつつ、高い隔離効率を実現できる利点がある。
リワインド・アースは先日、ジョージア西部において世界初となる商業用の深部鉱山炭素貯留プロジェクト「DMSジョージア」を開始したばかりだ。同社は、世界中の深部鉱山、堆積物、海洋盆地を活用し、2030年までに年間100万トンのCO2を除去するという目標を掲げている。
今回の提携について、グリーンジンは声明で次のように述べている。 「この提携は、エネルギーや材料としてのバイオマス利用とは別に、当社の提供価値に強力かつ新たな次元を加えるものであり、国境を越えてビジョンを拡大する誇るべきマイルストーンとなる」
また、リワインド・アースは、「我々は共に、微細藻類バイオマスのための深地下貯留サイトを開発する機会を追求し、回収された炭素を地質学的貯留サイトに恒久的に保存していく」とコメントした。
インド国内において、微細藻類バイオマスを地質学的スケールで安全かつ恒久的に貯留する手法の開発は初の試みとなる。両社は科学と技術を融合させ、炭素除去の拡張性とインパクトを最大化していく方針だ。
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