ベルリン拠点のカーボンクレジット市場運営会社グッドカーボン(goodcarbon)は2月11日、食品・飲料企業1社の委託を受け、自然由来の炭素除去(CDR)クレジット最大600,000トンCO2相当を調達する提案募集(RFP)を開始した。提出期限は3月6日で、クレジットの納入は2028〜2030年を想定する
同社は、植林・再植林、土壌炭素、アグロフォレストリーなど「自然由来(Nature-based Solutions)」の除去を対象に、高い環境完全性、社会的セーフガード、納入確度を重視するとした。とくに、委託元企業が原材料を調達する地域に位置するプロジェクトを優先し、まず地理要件の適合性を確認したうえで、選定候補に詳細デューデリジェンスを実施する二段階で審査する。
評価は、委託元企業と共同で作成した独自の品質枠組みで行い、グッドカーボンの「ネイチャー・アナリティクス・フレームワーク(Nature Analytics Framework)」を土台にする。同社は同フレームワークが認証基準に加えて160超の指標でプロジェクトを点検すると説明しており、既存の標準化認証だけでは拾いにくいリスクや便益の可視化を狙う。
今回のRFPは、ボランタリー・カーボン・マーケット(VCM)で「回避(avoided emissions)」中心から「除去(removals)」へと調達軸が移る流れを映す。とりわけ欧州連合(EU)では、カーボン・リムーバル認証枠組み(CRCF)を通じ、除去の測定・モニタリング・検証の共通ルール整備が進んでいる。欧州委員会は2月3日、直接空気回収・貯留(DACCS)やバイオ由来CCS(BioCCS)、バイオ炭など「恒久的除去」を対象とする自主的な認証方法論を採択したと発表しており、企業調達の“品質説明責任”は一段と強まる見通しだ。
一方、自然由来の除去は、恒久的除去に比べて山火事や土地利用転換などで貯留が失われる「永続性リスク」を抱える。食品・飲料分野ではサプライチェーンと土地利用が近接しやすいだけに、調達地域を原材料の供給圏に寄せる方針は、自然・地域社会の便益と同時に、監視や追加性の説明をしやすくする意図があるとみられる。RFPの締切である3月6日までに、どの地域・手法の自然由来CDRが候補に残るかが当面の焦点となる。
