土壌カーボンクレジットに新基準 Gold Standardが標準化推進

村山 大翔

村山 大翔

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認証団体ゴールドスタンダード(Gold Standard)は9月9日、スイス・ジュネーブで、土壌に蓄えられる有機炭素(SOC)の変化を測定・検証するための初めての統一ガイドラインを発表した。セカナ(Seqana)とサステナブルAG(Sustainable AG)と共同で作成し、モデル選びからデータ収集、検証、最終確認まで七つの手順を明示している。

新ガイドラインは、特定のツールを義務化せず、地域や土壌、気候条件に合わせて最適なモデルを選べる柔軟な仕組みだ。現地でのサンプリングとモデルを組み合わせることで、信頼できる炭素量の推定が可能になり、サンプリング頻度を減らしてコストを抑えることもできる。

ゴールドスタンダードの自然担当シニアスペシャリスト、ジャンカルロ・ラスキオ氏は「実務者や投資家の信頼を高め、土壌炭素プロジェクトが規模を拡大して確かな気候・環境効果をもたらせる」と語った。セカナ共同創業者のユリアン・クレーマーズCTOは「科学的に確かでありながら、使いやすく普遍的に活用できる」と評価した。

カーボンクレジット市場では、測定や検証の一貫性がクレジットの価値を左右する。土壌炭素は条件によるばらつきが大きいが、今回の七つの手順を踏めば、推定結果の精度を高め、不確実性を減らせる。これにより、発行されるカーボンクレジットの信頼性が向上し、購入者や投資家にとっても安心材料となる。

ゴールドスタンダードは自然に基づく解決策(NbS)を重視しており、今回の取り組みもその一環だ。日本の企業やプロジェクト開発者にとっても、農地や草地での土壌炭素プロジェクトを進める際の参考基準となり、費用やリスクの見通しが立てやすくなる。

参考:https://www.goldstandard.org/news/gold-standard-launches-guidelines-for-soil-organic