Gold StandardとGGGIが協定締結 「高信頼のカーボンクレジット市場」構築へ国際協力を強化

村山 大翔

村山 大翔

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2025年10月27日、韓国・ソウルで気候基準機関ゴールドスタンダード(Gold Standard)と国際機関グローバル・グリーン・グロース・インスティテュート(Global Green Growth Institute、GGGI)は、国際カーボン市場の信頼性向上と質の高い気候資金へのアクセス拡大を目的とする新たな協定を締結した。両者は覚書(MoU)に署名し、デジタルツールや認証枠組み、各国の能力構築を共同で進めると発表した。

この提携は、各国政府やプロジェクト開発者がパリ協定および持続可能な開発目標(SDGs)に整合したカーボン市場制度を設計・運用できるよう支援するもの。ゴールドスタンダードは自社のレジストリ・プラットフォームやモニタリング枠組みを提供し、GGGIは政策策定および実施における専門知識を生かす。

ゴールドスタンダードのマガレット・キム最高経営責任者(CEO)は、「誠実性こそが効果的なカーボン市場の基盤だ。両者の強みを結集することで、投資を呼び込み、気候・人々・自然に実際の効果をもたらすプロジェクトを設計できる」と述べた。

また、GGGIのサンヒョプ・キム事務局長は、「このパートナーシップは、気候変動への野心を実行可能かつ投資可能なプロジェクトに変える一歩だ。GGGIの政策経験とゴールドスタンダードの認証フレームワークを組み合わせることで、加盟国が高信頼のカーボン市場へアクセスし、気候資金を実質的な成長に結びつけられる」と語った。

両機関は今後、共同認証ツールや手法の開発、堅牢な市場インフラの推進、各国への技術支援・知識共有を通じて、透明性と説明責任を備えた市場モデルの構築を目指す。今回の合意は、パリ協定第6条(国際炭素取引)に対応するため、ゴールドスタンダードが2024年に公表した新たな「政策要件と手続き」に基づく協力の延長線上にある。

この連携により、品質審査の厳格化が進む中で、ボランタリー市場および制度的市場の双方に対する信頼回復が期待される。特に、政府政策に伴う温室効果ガス削減量やSDGsへの貢献を認証する新たな枠組みの活用が注目されている。

参考:https://gggi.org/global-green-growth-institute-and-gold-standard-sign-landmark-memorandum-of-understanding/