国際的なボランタリークレジット認証機関であるゴールド・スタンダード(Gold Standard)は2025年12月9日、クリーンクッキング方法論に基づくカーボンクレジットに対し、初めて「コア・カーボン・プリンシプル(CCP)」の適格ラベルを付与したと発表した。
ICVCMが定める厳格な高潔性基準、CCPsをクリアしたもので、市場におけるクックストーブ関連のカーボンクレジットの信頼性向上に向けた重要な一歩となる。
高品質カーボンクレジットとしての認証と市場への影響
今回ラベルが付与されたプロジェクトは、「ゴールド・スタンダード・フォー・ザ・グローバル・ゴールズ」の下で認証されたものであり、気候変動対策だけでなく、健康、ジェンダー平等、クリーンエネルギーといった複数の持続可能な開発目標(SDGs)への貢献が検証されている。
GSによると、今回のCCPラベル付与は、同基準の透明性と実質的なインパクトへの長年の取り組みが評価された結果であるという。また、GSは最近、国際民間航空のためのカーボン・オフセットおよび削減スキーム(CORSIA)のフェーズ2におけるクレジット供給承認も受けており、今回のCCP適格性と合わせ、開発者にとってコンプライアンス市場およびボランタリー市場双方へのアクセスが強化されることになる。
CCPラベルを取得した4つの先行プロジェクト
今回、CCPラベルが付与されたのは以下の4つのクリーンクッキング・プロジェクトである。
- ケニア(グローバル・クックストーブ)
プロジェクト資金を提供するキー・カーボンと、アフリカ特化のコンロメーカーであるバーン・マニュファクチャリング社の合弁事業。高効率コンロ「Kuniokoa」をケニアの農村部に普及させ、木質燃料の消費と森林破壊を抑制する。 - トーゴ(アフリカ・フォー・クライメートSA)
改良型バイオマスコンロ20万台を製造・配布するプロジェクト。燃料使用量を約30%削減し、地域住民の生計向上と健康改善に寄与する。 - ナイジェリア(アガスコ社・ロシャン・リニューアブルズ)
農村部の非効率な「三石かまど」を先進的な改良型コンロに置き換え、温室効果ガス排出と森林破壊を削減する。 - モンゴル(マイクロエナジー・クレジット・ハス銀行)
低所得世帯や零細起業家が効率的な調理・暖房技術にアクセスできるよう、現地のマイクロファイナンス機関を通じて支援を行うプログラム。
既存ルールの堅牢性を証明
特筆すべき点は、GSが提出したすべてのクックストーブ方法論が、ICVCMによって「更新の必要なし」として承認されたことである。これは、GSの既存ルール、科学的基盤、およびセーフガード(環境・社会配慮)が、すでに世界最高水準の高潔性基準を満たしていたことを裏付けている。
クックストーブ由来のカーボンクレジットは近年、その排出削減効果の算定方法を巡って市場から厳しい目を向けられる場面もあったが、今回のCCP認定により、これらのプロジェクトが気候および開発にもたらす利益が正当に評価される土壌が整ったと言える。GSは今後数週間以内に、さらなるクックストーブ・プロジェクトがCCPラベルを取得する見込みであるとしている。
参考:https://www.goldstandard.org/news/gold-standard-labels-first-ccp-eligible-cookstove-credits

