Gold Standard、CO2除去クレジット厳格化 パリ協定第6条4項に整合

村山 大翔

村山 大翔

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カーボンクレジットの国際認証団体ゴールドスタンダード(Gold Standard)は7月15日、新たなカーボンクレジット発行基準案を公表した。排出削減や炭素除去(CDR)事業に使われる「ベースライン(排出量の基準値)」の設定方法を厳格化する内容で、パリ協定第6条4項(Article 6.4)に沿った国際標準に合わせる狙いがある。

新基準では、事業者が実態より多くのクレジットを発行するリスクを抑えるため、3つの方法から排出基準の設定方式を選ぶ必要がある。

第一は「ベストアベイラブルテクノロジー(BAT)方式」で、最も環境負荷が小さく、実現可能な最新技術を基準とする。家庭向け技術の普及時には経済性も考慮する。

第二は「野心的ベンチマーク方式」で、同様のサービスや製品提供事例のうち、排出量が少ない上位20%以内のデータを基に基準を設定する。業界全体の技術進歩を反映しやすい点が特徴だ。

第三は「過去実績・履歴データ方式」で、実際の過去データや現状の排出量を基に基準を設定する。ただし、古い設備の残存耐用年数も考慮し、永久的な利用は認めない。

さらに、ベースライン設定後には「ダウンサイド調整(基準引き下げ)」が義務化される。初年度は、BATやベンチマーク方式は調整を免除されるが、実績方式は統計的誤差を考慮して基準を引き下げる。次年度以降は全方式で年1%以上の追加調整が求められ、3年ごとの再評価も実施される。

今回の基準案は2025年内の正式採択を目指しており、現在はパブリックコメントを募集中。正式決定後は、既存の認証済みプロジェクトも5年以内に新基準へ対応することが求められる見通しだ。

参考:https://goldstandard.cdn.prismic.io/goldstandard/aGzkWkMqNJQqHqlN_MethodologyStandardBaselineDeterminationPC.pdf