米国バイオ燃料企業のジーボ(Gevo)は9月18日、子会社ネットゼロ・リチャードトン(Net-Zero Richardton, LLC)が、炭素除去(CDR)事業を手がけるバイオレクロ・ノースアメリカ(Biorecro North America, LLC)とCDR由来のカーボンクレジットの販売契約を締結したと発表した。対象は北ダコタ州にあるジーボのバイオエネルギー炭素回収・貯留(BECCS)施設で生成されるカーボンクレジットで、今後5年間で約2,600万ドル(約39億円)の収益を見込む。契約規模は拡大可能で、国際的なカーボンクレジット市場に向け即時供給できる点が特徴だ。
ジーボの北ダコタ施設は2022年から年間最大16万5,000トンのCO2を地中貯留しており、稼働中の大規模BECCSプロジェクトとして世界でも先行例にあたる。施設は最大年間100万トンを貯留できる地層と米環境保護庁(EPA)のクラスVI井戸を備えている。カーボンクレジットはPuro.earthにより認証され、1,000年以上の永続性や品質基準を満たす「CORC(CO2 Removal Certificate)」として発行される。
ジーボの最高事業責任者ポール・ブルーム氏は「バイオ燃料市場は変動が大きいが、高品質なカーボンクレジットへの需要が安定収益源となりつつある」と強調した。
一方、バイオレクロ創業者兼CEOのヘンリック・カールソン氏は「ジーボの先進的なBECCSへの取り組みを支援できることを誇りに思う。今回の協業を通じて世界規模で炭素除去分野の成長を加速させたい」と述べた。
ジーボは2025年1月に、同施設を旧レッドトレイル・エナジーから取得。副産物であるバイオ起源CO2を地下に恒久貯留することで、燃料やタンパク飼料生産と並行して炭素除去クレジットを生み出す仕組みを構築している。従来、CO2は食品・飲料用途や石油回収(EOR)にも利用されてきたが、永続的な地中貯留によるカーボンクレジット化が新たな収益モデルとなっている。
ジーボの事業開発責任者アレックス・クレイトン氏は「今回がバイオレクロとの初契約であり、今後さらなる案件開発を期待している」と述べた。