気候変動対策への事前市場コミットメント(AMC)を主導するフロンティア(Frontier)は11月25日、ドイツのクライメートテック企業であるレベリオン(Reverion)との間で、炭素除去(CDR)に関するオフテイク契約の締結を支援したと発表した。フロンティアに参加する購入企業グループは、レベリオンに対して総額4,100万ドル(約63億円)を支払い、2027年から2030年の間に合計9万6,000トンの二酸化炭素(CO2)除去を実行する計画だ。
今回の契約の中核となるのは、レベリオンが開発した固体酸化物形燃料電池(SOFC)技術を用いた新たな炭素除去パスウェイである。同社のシステムは、廃棄物由来のバイオガスを燃料としてクリーンな電力を生成すると同時に、プロセス内で発生するCO2を回収し、恒久的に貯留する。特筆すべきは、バイオガスに含まれるメタンとCO2の両方から炭素を捕捉できる点であり、これにより従来の手法と比較して炭素除去量を2倍に高めることに成功している。
メタンは100年間の評価においてCO2の27倍以上の温室効果を持つ強力なガスであり、その対策は急務とされている。従来の熱電併給(CHP)プラントなどによるバイオガス利用は、未燃焼メタンやCO2を排出するリスクがあり、エネルギー変換効率の面でも課題が残されていた。レベリオンの技術は、発電効率を記録的な水準に引き上げつつ、排出される炭素を全量回収することで、分散型電源の普及と大規模な炭素除去(CDR)の両立を可能にするソリューションとして期待されている。
レベリオンはこの技術について、世界規模でバイオガス生産に適用された場合、年間2ギガトン以上のCO2を除去できるポテンシャルがあるとしている。今回のフロンティアによる大規模な購入契約は、バイオマスを活用した炭素除去・貯留(BECCS)の新たな形態として、同技術の商用化とスケールアップを後押しすることになりそうだ。
参考:https://reverion.com/en/reverion-and-frontier-advance-new-biogas-carbon-removal-pathway/
