米ExxonMobil、ルイジアナ州で2件目のCCS稼働 年間120万トンのCO2を分離・貯留

村山 大翔

村山 大翔

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米石油大手エクソンモービル(ExxonMobil)は2026年2月19日、ルイジアナ州ギリスにおける「ニュー・ジェネレーション・ガス・ギャザリング(NG3)」プロジェクトにおいて、回収した二酸化炭素(CO2)の輸送および貯留を開始したと発表した。

これは同州において同社が手掛ける2件目の商用炭素回収・貯留(CCS)事業となる。本プロジェクトの稼働により、年間最大120万トンのCO2が天然ガス精製過程で分離され、地中深くへ封じ込められる。

LNG脱炭素化の加速と産業ハブの形成

今回のNG3プロジェクトの始動は、LNG(液化天然ガス)や天然ガス処理といった「削減困難なセクター(ハード・トゥ・アベイト)」における脱炭素化を加速させるものである。東テキサスおよびルイジアナ州で生産された天然ガスは、ギリスの施設で精製される際、不純物として含まれるCO2が取り除かれる。クリーンになったガスはメキシコ湾岸のLNG輸出ターミナルなどへ供給され、回収されたCO2は地質構造内へ圧入される。

現在、回収されたCO2は原油回収増進(EOR)に利用されているが、同社は今後、純粋な恒久隔離(専用貯留)へと移行する計画を立てている。

累積契約量は年間320万トンに到達

エクソンモービルは2025年7月に肥料大手CFインダストリーズ(CF Industries)のドナルドソンビル工場において、低炭素アンモニア製造に向けたCCS事業を開始したばかりだ。今回のNG3を合わせると、同社がルイジアナ州で稼働させるCCSの契約容量は年間計320万トンに達し、これは同社が米メキシコ湾岸全域でコミットしているCCS総容量の約3分の1に相当する。

同社は2026年中にさらに2つのCCSプロジェクトの稼働を予定しており、鉄鋼、メタノール、発電など多岐にわたる産業分野での脱炭素化を支援する方針だ。これまでにルイジアナ州には、排出削減関連の新規プロジェクトとして約610億ドル(約9兆1,500億円)もの投資が流入している。

地域経済と「低炭素エネルギー」の需要

ルイジアナ州の有利な地質構造と既存のエネルギーインフラは、CCSハブとしての地位を強固にしている。このインフラは単なる排出削減に留まらず、低炭素な電力や燃料を求めるデータセンターなどのエネルギー集約型産業を誘致する強力なインセンティブとなっている。

エクソンモービルは、CCSを通じて「世界のエネルギー需要を満たしながら排出量を削減する」という独自の戦略を推進しており、地域の経済成長と環境負荷低減の両立を図る。

エクソンモービルの動きは、CCSがもはや実験段階ではなく、石油・ガス産業の「延命」と「競争力強化」を兼ね備えた現実的なビジネスモデルであることを示している。

日本企業にとっても、マレーシアやインドネシアでのCCS事業参画、あるいは低炭素LNGの調達という文脈で、米国のインフラ構築スピードは一つのベンチマークとなる。特にJCM(二国間クレジット制度)などを活用した海外でのCDRクレジット創出を狙う中小・中堅企業にとって、こうした大規模インフラの稼働実績は、将来的なカーボンクレジットの信頼性担保やコスト低減を占う重要な指標となるだろう。

参考:https://corporate.exxonmobil.com/what-we-do/delivering-industrial-solutions/carbon-capture-and-storage/expanding-our-ccs-operations-in-louisiana-with-another-project-startup#WhatcarboncaptureandstoragemeansforLouisiana