ボリビアを拠点とする炭素除去(CDR)スタートアップのエクソマッド・グリーン(Exomad Green)は2026年2月12日、カーボンクレジット調達支援のゼンケン(Senken)と新たなオフテイク契約を締結した。
本提携により、航空業界向けに2026年から2028年にかけて計10万5,000トンのCO2をバイオ炭由来のCDRクレジットを提供する。今回の合意を含め、両社の契約総額は約3,000万ドル(約45億円)に達し、耐久性の高いCDRソリューションへの市場の信頼を裏付ける形となった。
供給されるカーボンクレジットは、ボリビアのコンセプシオンおよびリベラルタにある既存施設と、現在建設中のグアライオス新施設から創出される。エクソマッド・グリーンは、持続可能な方法で回収された林業残渣を高度な熱分解技術によってバイオ炭に変換し、数百年にわたり炭素を土壌に封じ込める。
カーボンクレジットの調達を担うゼンケンは、独自の「サステナビリティ・インテグリティ・インデックス(SII)」を用い、600以上のデータポイントに基づいてプロジェクトを精査している。同社は市場に流通するカーボンクレジットの95%を不採用とする極めて厳格な基準を設けており、今回の契約はその高いハードルをクリアしたものである。
ゼンケンのエイドリアン・ウォンズCEOは、「企業の買い手は、監査人や規制当局に対して説明責任を果たせる高品質なポートフォリオを求めている。永続的な除去は、もはや企業の気候変動戦略の核心だ」と述べている。
エクソマッド・グリーンは、マイクロソフト(Microsoft)とも124万トンという世界最大級のバイオ炭供給契約を締結しており、世界最大の耐久的CDRサプライヤーとしての地位を固めている。同社のモデルは、炭素固定だけでなく、土壌改良材としてのバイオ炭を地元コミュニティに提供することで、大気汚染の防止や農業生産性の向上といった社会的な副次効果(コベネフィット)も生み出している。
航空業界におけるこの構造的変化は、今後、他の排出多消費産業にも波及すると予想される。国際的なカーボンクレジット市場では、単なる「排出回避」から、テクノロジーに基づいた「除去」へと資本の流れが明確に切り替わりつつある。
今回の航空業界による大型契約は、日本の航空大手や輸出企業にとっても「カーボンクレジットの質」の基準が一段階上がったことを意味する。
特に欧州規制や国際航空炭素オフセット・削減計画(CORSIA)への対応において、従来の森林保全型だけでなく、バイオ炭のような工学的CDRの確保が競争力の源泉となるだろう。
日本国内のバイオ炭スタートアップにとっても、グローバルな需要を取り込む大きな商機が到来している。
