EverlandとBNP Paribas、REDD+新基準下で5,000万ドルの森林保全資金を創出 アマゾンの先住民主導プロジェクトに初投資

村山 大翔

村山 大翔

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米カーボンプロジェクトマーケターEverlandと仏大手銀行BNP Paribasは4月30日、先住民・伝統的コミュニティ主導のREDD+プロジェクトに対し、5,000万ドルの資金を提供する新たな債券型資金調達スキームを発表した。対象プロジェクトは、森林保全新基準「Equitable Earth Standard(EES)」の下でアマゾン熱帯林に展開される。

この「成果報酬型アウトカム債」イニシアティブは、先住民と伝統的コミュニティが直接リーダーシップを担うREDD+プロジェクト20件の立ち上げを支援するもので、全プロジェクトは新たな第三者認証基準「Equitable Earth Standard(EES)」に準拠する。EESは、高い科学的整合性と透明性を有し、かつ収益の公平な分配を義務付ける点が特徴である。

対象地域は、南米ジャガーの生息域をつなぐ「ジャガー回廊」の優先保全エリアであり、生物多様性と先住民の権利保護が交差する戦略的地域である。プロジェクトの成功により生成される炭素クレジットは、初期10年間で10億ドル超の収益が見込まれており、40年間にわたる継続的な環境・社会インパクトの創出が期待される。

BNPパリバは資金調達と金融スキームの構築を担い、Everlandはプロジェクトの選定・実行・モニタリング、そしてカーボンクレジットのマーケティングを担当する。森林保全の「直接的担い手」である先住民コミュニティに対し、資金と意思決定の主導権を与える本モデルは、既存のREDD+メカニズムとは一線を画すアプローチといえる。

Chief Uraan Anderson Suruíは、「これまで我々は森林を守ってきたが、資金決定の場には関与できなかった。この取り組みはその扉を開いた」とコメントしており、資金の公平分配と文化的価値の尊重が両立される点に強い意義があるとした。

この発表は、Global Citizen NOWサミット(ニューヨーク)で行われ、COP30(ブラジル・ベレン)を目前に控える中、グローバルなREDD+政策と民間資金の交差点として注目されている。今後、同様の高整合性REDD+スキームの普及により、REDD+への信頼回復とクレジット市場の再活性化が期待される。

参照:https://everland.earth/news/outcomebondpartnership/