EUは、気候変動対策の中核プログラムである「LIFEプログラム」の2025年版において、CDR関連プロジェクトに最大3,200万ドルの資金拠出を行うことを発表した。
本プログラムは、2030年までにEU全体の温室効果ガス排出量を1990年比で少なくとも55%削減するという野心的目標の一環として、革新的な炭素除去技術の実証と事業化支援を目的としている。
支援対象となるCDR技術、自然由来と技術融合型の両面から
今回の支援では以下のCDR技術が対象となる。
- バイオ炭(biochar)
- 強化風化(ERW: Enhanced Rock Weathering)
- 海洋アルカリ強化(OAE: Ocean Alkalinity Enhancement)
- 海洋直接回収(DOC: Direct Ocean Capture)
- 小規模バイオCCS(bioCCS)
EUはこれらの技術に対し、コスト・資源効率性の高い選択肢の特定とスケーラブルなビジネスモデル構築を目的として資金提供を行う。加えて、MRV体制の強化を通じて、除去効果の透明性と信頼性を担保する仕組みも併せて支援する。
LIFEプログラムと欧州グリーンディールの関係
LIFEプログラムは2021年〜2027年の7年間で運用されており、「自然と生物多様性」「循環経済と生活の質」「クリーンエネルギー移行」「気候変動緩和と適応」の4つのサブプログラムで構成されている。
本プログラムはEUの環境・気候政策の要である「欧州グリーンディール」を支える資金的基盤でもあり、最終的には2050年ネットゼロ社会の構築を目指している。