EUがデンマークのCO2ハブ開発を支援 「ヒアツハルス港」へ約3.8億円を助成

村山 大翔

村山 大翔

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欧州連合(EU)の「EU公正移行基金(Just Transition Fund)」は、デンマーク北部のヒアツハルス港を中心とした二酸化炭素回収・利用・貯留(CCUS)インフラの初期開発に対し、230万ユーロ(約3億7,950万円)の助成金を交付した。デンマークビジネス庁(Danish Business Authority)が発表した。この資金は、北欧全域からのCO2を受け入れる将来のターミナル建設に向けた実現可能性調査やシステム設計に充てられる。

今回のプロジェクトは、ヒアツハルス港を北海の大規模なオフショア貯留施設へと繋ぐ「戦略的ゲートウェイ」として位置づけるものだ。具体的には、技術モデリング、インフラ設計、環境性能の最適化に重点を置く。再生可能エネルギーの活用や、周辺産業からの余剰熱・エネルギーの統合により、運用時のカーボンフットプリントを最小限に抑えたCO2処理システムの構築を目指している。

CCUSバリューチェーンの成熟に伴い、透明性と競争力を確保するための「ライフサイクルアセスメント(LCA)モデル」の開発も計画の柱である。これにより、CO2の輸送・処理プロセス全体が気候に与える影響を定量化し、排出権(カーボンクレジット)としての信頼性を担保する。ヒアツハルス港は、複数の貯留開発地や航路に近い地理的優位性を備えており、デンマーク国内だけでなく近隣諸国の産業排出源を集約するハブとしての機能が期待されている。

デンマークは、2030年代までに年間1,500万トン以上のCO2処理能力を目指す「グリーンポート・スカンジナビア(Greenport Scandinavia)」構想を掲げている。本プロジェクト「CIRCLE CO2 Hub」はその中核をなし、港湾当局、オールボー大学、エネルギーコンサルタントらによるコンソーシアムが推進している。すでに先行して1,460万ユーロ(約24億900万円)の助成も決定しており、今回の追加支援によりバイオガス由来のCO2(BECCS)を主とした初期段階の物流網が加速する見通しだ。

欧州では北海を巨大な貯留地とするCCSプロジェクトが相次いで進展しており、ヒアツハルスのようなインフラ拠点は、回収地点と長期貯留地を繋ぐ重要な結節点となる。今後は、国境を越えたCO2輸送の法的枠組みの整備や、炭素除去(CDR)クレジットの市場流動性向上に向けた動きがさらに活発化すると見られる。

デンマークが国家戦略として進める「欧州のCO2倉庫」化は、物理的なインフラ整備から、LCAモデルによるクレジットの透明化フェーズに移行した。

これは、高付加価値なネガティブエミッション(除去系クレジット)を狙う日本企業、特に船舶・プラントエンジニアリング関連の中小企業にとって、北欧のハブと連携した技術実証や、国際的なLCA標準化に参画する大きな商機となるだろう。

参考:https://greenportnorth.com/e-2-3-million-for-climate-friendly-and-energy-efficient-co%e2%82%82-handling-in-hirthals/