欧州委員会は2026年6月2日、欧州エネルギー取引所(EEX)および清算機関のECC(European Commodity Clearing)と5年契約を締結し、EU ETSの第4次共通オークションプラットフォームにEEXを指定した。
新プラットフォームでのオークションは2027年に開始する。今回の契約は、欧州委員会と27のEU加盟国、3つのEEA-EFTA諸国(アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー)による共同調達手続きを経て決定された。
ETS2排出枠オークションの前倒し
ETS2は建物・道路輸送・追加セクターを対象とする制度であり、その運用開始は2028年に設定されている。
一方、排出枠のオークションは運用開始に先行し、2027年1月に始まる。
EEXはこのETS2排出枠について、全加盟国とEEA-EFTA3カ国に加え、社会気候基金分のオークションを担当する。
運用開始の1年前にオークションを立ち上げる設計は、制度始動前にETS2市場へ価格形成と流動性の助走期間を与えるものと読み取れる。
共通プラットフォームの集約と運営原則
ETS1については、EEXが27加盟国のうちドイツとポーランドを除く25カ国分のオークションを担当する。
これにEEA-EFTA3カ国分、ならびにイノベーション基金、近代化基金、ETSギリシャ脱炭素化基金分が加わる。ドイツとポーランドは今回のEEX担当範囲には含まれない。
欧州委員会は、共通プラットフォームの採用により、加盟国間でオークションがオープンかつ透明で、調和的・無差別な形で継続されると説明している。
EEXは現行の共通プラットフォームでもあり、2026年12月14日までは現行のETS1オークションを継続する。
編集部の視点
今回の指定は、EU ETSのオークション基盤を2030年代に向けて確定させる制度整備の一環として位置づけられる。
構造面では、ETS1とETS2の双方を単一のプラットフォームに集約し、ETS2排出枠のオークション基盤を運用開始に先行して整えた点に意味がある。
ただし、EEXは現行の共通プラットフォームでもあり、今回の契約は運営主体の刷新ではなく既存体制の5年延長という性格が強い。
前倒しされたETS2オークションが運用開始までに価格形成と流動性をどこまで育てるかが、2028年時点でのETS2市場の成熟度を左右する。
参考:https://climate.ec.europa.eu/news-other-reads/news/european-energy-exchange-appointed-eu-ets-common-auction-platform-2027-2026-06-04_en
