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EU CBAM本格適用、炭素コストが輸入価格に転嫁される段階へ

2026.06.01 読了 約3分
EU CBAM本格適用、炭素コストが輸入価格に転嫁される段階へ
出典:イメージ

欧州委員会がCBAMのQ&Aガイダンスを更新し、2026年1月に始まった本格適用フェーズに伴う登録・申告・証書購入の実務要件を確定させた。これにより炭素集約度は、報告指標からバランスシートに計上される直接コストへと性格を変えつつある。

業界分析によれば、EU域内の輸入業者の多くは既に、CBAM対応に伴う炭素コストを最終製品価格へ転嫁している。炭素集約度の高い品目では、着地コストが最大20%上昇したとの報告もある。

EU ETS連動の価格基準が確定

欧州委員会は2026年第1四半期のCBAM証書価格を、1トンCO2あたり75.36ユーロ(約14,000円)と公表した。価格はEU ETSのオークション清算価格の加重平均に連動して算定される。

2026年は四半期ごとに価格が設定され、第2四半期分は7月6日に公表予定である。2027年からは週次方式へ移行し、炭素市場の変動をより即時に反映する。

CBAM証書の購入は2027年2月1日に開始される。2027年以降、認可CBAM申告者は四半期ごとに最低保有枚数の証書を購入・保持する義務を負う。

登録と申告の実務要件

CBAM対象品目を輸入する事業者は、通関のために認可CBAM申告者として登録する必要がある。初期登録の申請期限は2026年3月31日であった。対象は鉄鋼、アルミニウム、セメント、肥料、電力、水素の各セクターに及ぶ。

年間累計50トン以下の輸入は適用除外となるが、水素と電力にはこの閾値が適用されず、数量にかかわらず認可が求められる。

初回の年次CBAM申告は2027年9月30日が期限で、2026年報告年の輸入に伴う排出量を対象とする。

検証済み排出データの重要性

更新されたガイダンスは、施設レベルの検証済み排出データの使用を一段と重視している。検証データが得られない場合にデフォルト値を用いることは可能だが、欧州委員会はデフォルト値には割増が含まれており、中立的な代替手段とはみなすべきでないと明示した。

認可CBAM申告者は、排出データがサプライヤー由来か第三者由来かにかかわらず、申告内容の正確性について法的責任を負う。検証データを確保できない輸入業者ほど、証書コストの面で不利になる構造である。

編集部の視点

CBAMの本格適用は、炭素価格が域外サプライチェーンの調達コストに直接織り込まれる段階への移行として位置づけられる。報告義務にとどまっていた炭素集約度が、輸入価格を構成する変数へと転換した。

証書価格がEU ETSに連動する以上、EU域内の炭素価格変動は、域外で生産された財の輸入コストを直接左右する。検証データの取得能力が証書コストの多寡を分ける構造も加わり、炭素管理の巧拙が価格競争力に反映される局面に入ったことが、本件の中核的な意味である。

参考:https://taxation-customs.ec.europa.eu/carbon-border-adjustment-mechanism/cbam-communication-and-faqs_en

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カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。