炭素除去(CDR)の標準化を目指すフランスのエキタブル・アース(Equitable Earth)は2026年1月9日、1,460万ドル(約21億2,000万円)の新たな資金調達を実施したと発表した。
同社は米国のファミリーオフィスが主導するこの資金を活用し、自然由来のカーボンクレジット認証プロセスを大幅に効率化し、市場への供給量を拡大させる方針だ。今回の増資により、同社の累計調達額は2,900万ドル(約42億円)を超え、信頼性の高い「高品質クレジット」の世界的基準確立に向けた動きを加速させる。
今回の資金調達は米国のファミリーオフィスがリード投資家を務め、既存投資家であるアエヌ(AENU)やノア(noa)、ローカルグローブ(Localglobe)らが参加した。エキタブル・アースは、旧社名のエコシステム・レストレーション・スタンダード(ERS)から改称して以降、自然由来のCDRプロジェクトに特化した認証機関として急速に成長している。
同社の認証プログラムは、ボランタリー炭素市場整合性理事会(ICVCM)が定めるコア・カーボン・原則(CCPs)に準拠しており、市場で最も高い品質基準を満たすものと評価されている。
同社が提供するデジタル認証プラットフォームは、リモートセンシング技術と自動化プロセスを統合することで、従来の認証プロセスを大幅に短縮した。通常は数年を要する検証期間を3か月から12か月にまで短縮し、モニタリングコストの削減と透明性の向上を同時に実現している。
エキタブル・アースのチバルト・ソレット最高経営責任者(CEO)は「信頼性が高くスケーラブルな方法でプロジェクトを認証することで、組織が自然界を保護・修復できるようにすることに引き続き注力する」と述べ、今回の資金を技術開発とチーム拡大に充てる考えを示した。
エキタブル・アースの強みは、独立系の炭素格付け機関であるシルベラ(Sylvera)からも高く評価されている植林・再森林・植生回復(ARR)手法にある。さらに同社は、2025年後半のCOP30で発表したREDD+の新基準についても、市場の信頼を獲得することを目指している。
投資家であるノア(noa)のアルジュン・ジャイラジ氏は「炭素市場には、実質的な気候・生態系・社会的成果をもたらす、拡張可能で信頼できるプロジェクトが必要だ」と指摘し、同社の市場リーダーとしての地位を強調した。
調達した資金の具体的な使途として、同社は数百万ヘクタール規模の追加認証を通じたクレジット供給量の拡大を掲げている。また、データシステムやモデリングツールの高度化を進め、より多くの脅威にさらされている生態系をカバーする新しい手法の開発にも着手する。
次期国会や国際会議に向けた各国の規制強化が進む中、エキタブル・アースは、先住民族や地域コミュニティとの公平な利益配分を保証する仕組みを組み込むことで、社会的側面からもクレジットの価値を高める戦略をとる。
今回のエキタブル・アースによる資金調達は、ボランタリーカーボンクレジット市場が「量」から「質の保証されたデジタル認証」へと完全にシフトしたことを象徴している。
特に、ICVCMの「CCPラベル」が実質的な市場参入障壁となりつつある2026年の現状において、認証期間を1年未満に短縮できる同社の技術は、クレジット不足に悩む日本企業にとっても重要な調達先候補となるだろう。
今後は、COP30で示されたREDD+の新基準がどこまで厳格に運用されるかが、同社の世界的地位を決定づける焦点となる。


