「5.5百万トンのCO2削減」 米Eco Material Technologies、再生セメントで建設業の脱炭素を加速

村山 大翔

村山 大翔

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米国でセメント代替材を手がけるエコマテリアル・テクノロジーズ(Eco Material Technologies)は、2024年にCO2換算で5.5百万トン(約8,250万トン)の温室効果ガス(GHG)排出を回避したと発表した。これは全米のセメント消費量の5%以上を代替する規模で、同社が公開した2024年版サステナビリティ報告書により明らかになった。

主な削減要因は、石炭火力発電所の副産物であるフライアッシュの大規模活用や、自社開発の「グリーンセメント」製品によるもの。これらの取り組みにより、埋立処分を避けつつ、セメント製造に伴う排出を大幅に抑えている。

報告書によると、同社は2024年に次の成果を達成した。

  • 埋立を防いだ石炭灰:6.2百万ショートトン(約562万トン)
  • 地中から再利用した灰:46.8万トン
  • 生産したグリーンセメント:7.3万トン(約6.5万トンのCO2回避に相当)
  • 節水効果:20億ガロン(約76億リットル)以上

エコマテリアルは現在、全米42州に150以上の拠点を持ち、5,000以上の顧客と取引している。従業員は1,100人で、女性の比率は14%と業界平均(10.9%)を上回る。また、保有する大型トラックのうち20%を燃費効率の高い車両に更新し、輸送による排出量の削減にも取り組んでいる。

同社のグリーンセメント技術「PozzoSlag®」と「PozzoCem®」は、一部の用途で通常のセメントを100%置き換え可能で、性能も向上するという。すでにコロラド州のダム拡張工事やカリフォルニア州の大学施設建設、テキサス州の油井閉鎖など、インフラ・エネルギー分野の現場で使用されている。

2030年までには、現在の年1,000万トンから2,000万トンへとセメント代替材の供給量を倍増させる方針。国連の持続可能な開発目標(SDGs)との整合性も重視しており、特に「インフラと技術革新(目標9)」や「責任ある消費と生産(目標12)」への貢献を掲げている。

CEOのグラント・クアシャ氏は「私たちの使命は、建設材料を通じてよりグリーンな世界をつくることだ。国内のフライアッシュ活用は、気候対策としても現実的かつ拡張性の高い選択肢だ」とコメントしている。

参考:https://www.globenewswire.com/news-release/2025/08/12/3131624/0/en/Eco-Material-Technologies-Releases-2024-Sustainability-Report-Highlighting-Advancements-in-U-S-Cement-and-Concrete-Decarbonization.html