DP World UK、カーボンインセット計画の拡充 「輸入コンテナ1本ごとに250キロ分のカーボンクレジット」

村山 大翔

村山 大翔

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国際物流大手のDPワールドUK(DP World UK)は8月19日、英国のロンドン・ゲートウェイ港とサウサンプトン港を経由する輸入コンテナを対象に、自社の「カーボン・インセット・プログラム」で付与するカーボンクレジット量を大幅に拡大すると発表した。10月1日以降、参加企業には従来の50キログラムに代わり、1本当たり250キログラム相当のカーボンクレジットが付与される。

この計画は、海運業者にとって削減が難しいScope3排出を対象に、サプライチェーン全体の脱炭素化を後押しする取り組みである。今年1月に開始され、すでに20万TEU以上の登録があり、当初は上半期限定の試験運用だったが、関心の高まりを受けて12月末まで延長されている。

今回の拡充により、カーボンクレジットは港湾での「ラスト・ノーティカルマイル」におけるタグボートや水先案内船の排出にも適用可能となった。背景には、子会社ユニフィーダーやタグボート運航会社スヴィッツァーが低炭素燃料を導入し、追加的な削減効果を確保したことがある。

スヴィッツァーの脱炭素化責任者エカテリーナ・リーゲルス・ヨルト氏は「港湾パートナーが協力すれば、現実的かつ拡張可能な排出削減が実現できることを示した」と述べた。DPワールドのサステナブル国際サプライチェーン担当副社長ジョン・トレンチャード氏も「よりスマートな物流と低炭素燃料を通じて、競争力を維持しながら貿易を持続可能にしている」と強調した。

カーボンクレジットの拡充は、輸送業のScope3削減策の中でも希少な「実運用に基づく削減量」を裏付ける点で注目される。今後は、輸送主や荷主が国際的な温室効果ガス報告義務に対応するための実効的な手段として利用が広がる可能性が高い。

参考:https://www.dpworld.com/london-gateway/carbon-inset-programme