6月26日、カナダの炭素除去(CDR)開発企業Deep Sky(ディープスカイ)は、アルバータ州イニスフェイルに建設中だったカーボンリムーバル施設「Deep Sky Alpha」が機械的完成(Mechanical Completion)に到達したと発表した。建設着手からわずか1年未満での完成となり、業界内で注目を集めている。
この施設は、最大10種の直接空気回収(DAC)技術を同時に運用可能な世界初の「横断型CDRセンター」として設計されており、技術提供企業には複数の世界的企業が名を連ねる。今後、各技術の実稼働環境下での比較検証が進むことで、コスト削減と大規模化に向けた知見が得られると期待されている。
Deep Sky Alphaは、年間3,000トンのCO2を除去する能力を持ち、初期10年間で累計3万トンCO2の除去を目指す。回収されたCO2は、同地域に豊富に存在する地質貯留層に永久的に貯留される。再生可能エネルギー源へのアクセスも確保されており、CDR事業の持続可能性と信頼性の向上が図られている。
プロジェクトの設計・エンジニアリングは、エネルギー転換分野に特化するカナダのBBA社と共同で行われた。今回の進展には、Breakthrough Energy Catalystからの4,000万ドル(約64億円)の助成金と、マイクロソフト、カナダロイヤル銀行、Rubicon Carbonによるカーボンクレジットの購入契約が大きく寄与している。
Deep SkyのCEOであるアレックス・ペトレ氏は「本日の達成は、気候変動対策に必要なスピードと規模でインフラを構築できることを証明するものだ」と強調した。
現在、各DACシステムの試運転(コミッショニング)が進行中であり、今夏中の本格稼働開始、年末までに初回の認証済みカーボンクレジット発行が見込まれている。