米非営利団体クールエフェクト(Cool Effect)は9月22日、気候変動対策プロジェクトを対象とする新たな助成制度「クールエフェクト・カタリスト」を発表した。総額100万ドル(約1億5,000万円)を拠出し、科学的裏付けを持ちながらも資金不足で停滞する炭素削減・除去事業を後押しする。選定事業からは後にカーボンクレジットを受け取る仕組みだ。
同団体は「Carbon Done Correctly(正しく行われた炭素削減)」基準に基づき候補を精査する。この基準は科学的検証、現地調査、複数段階のデューデリジェンスを経たものに限られる。対象はボランタリーカーボンクレジット市場で認証を受けたプロジェクトで、森林保全や再生などの自然ベースに加え、DAC(直接空気回収)など技術系ソリューションも含まれる。
クールエフェクトのジョディ・マニング最高経営責任者(CEO)は発表の場で「設立10周年を迎えるにあたり、我々の揺るぎない使命を形にするものだ。未来の気候アクションを後押しする節目としたい」と述べた。
共同創設者のディー・ローレンス氏も「科学的に有効であっても資金不足で立ち上がれない事業が多い。この基金はその壁を打ち破るものだ」と指摘した。
応募は2026年7月1日まで受け付ける。対象プロジェクトは2022年1月以降に策定・改訂された方法論を使用し、計画書やプロジェクト設計文書(PDD)と共に、カーボンクレジット発行までの工程を提示する必要がある。選定結果は2026年第4四半期に発表予定で、資金拠出は翌年から始まる。
クールエフェクトは2015年のパリ協定開催時に発足し、これまでに累計8,400万ドル(約1,260億円)以上をプロジェクトに還元、1,000万トン超の排出削減を実現してきた。今回の基金は、カーボンクレジット市場における「早期資金不足」という慢性的課題に切り込む試みとして注目される。