米コロラド州、産業CO2削減に8億円の助成 炭素鉱物化や製造業の電化を加速

村山 大翔

村山 大翔

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コロラド州エネルギー局(CEO)は2026年2月12日、州内の産業排出削減を目的とした「クリーンエアプログラム(CAP)」において、計520万ドル(約7億8,000万円)の助成金交付を決定した。

本ラウンドでは、工場などの施設側ではなく、炭素除去(CDR)や電化技術を持つ「技術プロバイダー」を直接支援する新たな手法を採用。2030年までに産業部門の排出量を20%削減(2015年比)するという州目標の達成に向け、革新的技術の社会実装を急ぐ。

今回の助成金は、従来の施設単位の支援から踏み込み、脱炭素技術をサービスとして提供する企業を対象とした。これにより、個別の産業施設が新技術を導入する際の財務リスクを軽減し、市場投入のスピードを上げる狙いがある。

採択された4つのプロジェクトには、民間から計160万ドル(約2億4,000万円)以上の共同投資も行われる。これらのプロジェクトが稼働することで、年間で自動車約4,000台分に相当する二酸化炭素(CO2)排出が回避されるほか、硫黄酸化物や窒素酸化物、微小粒子状物質などの大気汚染物質の削減も見込まれている。

今回の採択で特に注目されるのが、CDR(炭素除去)技術の一種である「炭素鉱物化」だ。

採択企業の一社であるクルー・カーボン(CREW Carbon)には、最大規模となる約235万ドル(約3億5,300万円)が投じられる。同社は廃水処理施設において、排水に含まれる成分とCO2を反応させ、安定した鉱物として炭素を永続的に貯留するプロジェクトを推進する。これは、既存のインフラを活用した高効率な炭素除去手法として、カーボンクレジット市場からも高い関心を集めている。

また、日本発のスタートアップであるサンメタロン(Sun Metalon)が約90万ドル(約1億3,500万円)の助成を獲得したことも特筆すべき点である。同社は、従来は天然ガスを熱源としていたアルミニウムや鉄鋼の再資源化プロセスを、電気を用いた独自の加熱技術に置き換える。製造プロセスの「電化」は、再エネ導入が進む米国市場において、産業部門の脱炭素化の切り札とされている。

コロラド州はこれまでに、CAP基金から2,060万ドル、州産業税額控除(CITCO)から870万ドル、合わせて2,930万ドル(約44億円)を産業デカルボプロジェクトに投じてきた。支援対象は石油・ガス貯蔵施設から鉱山、廃水処理施設まで多岐にわたる。

ジャレッド・ポリス(Jared Polis)知事は「革新的なソリューションへの投資により、大気汚染を抑え、次世代のためにコロラドの環境を守る」と述べ、今後もクリーンエネルギー技術への投資を加速させる姿勢を強調した。CEOは2026年前半に次回のCAP公募を開始する予定であり、春には税額控除プログラムの申請受付も再開する。

今回のコロラド州の動きで特筆すべきは、日本発のSun Metalonが選出された点だ。

これは、日本の高度な製造技術や電化技術が、米国の公的な脱炭素化予算を獲得できるほど競争力を持っていることを示唆している。また、CREW Carbonによる廃水処理を通じた炭素鉱物化への巨額支援は、CDRがもはや実験段階ではなく、地域のインフラと統合された「実用フェーズ」に入ったことを裏付けている。

排出枠の購入だけでなく、こうした除去技術への直接投資や技術協力は、今後日本企業にとってもカーボンニュートラル戦略の重要な選択肢となるだろう。

参考:https://www.colorado.gov/governor/news/energy-office-awards-52-million-support-innovative-technologies-reduce-industrial-emissions