CO280とJPモルガン、1トンあたり200ドルのカーボンクレジット契約を締結

村山 大翔

村山 大翔

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米製紙工場由来のCO2除去で、13年間で45万tのカーボンクレジット供給へ 

CDR事業者のCO280は5月20日、JPモルガン・チェースとCDRオフテイク契約を締結したと発表した。価格は1トンあたり200ドル(約3万円)未満で、13年間にわたり計45万トンのCDRを提供する内容となっている。

CO280は、製紙工場のボイラー排気から発生するバイオマス由来のCO2を回収・地下貯留する手法により、低コストかつ恒久的なCDRを実現。今回の契約では、米国メキシコ湾岸にある製紙工場を対象に、SLB Capturi提供のポストコンバッション技術を用いてCO2を回収する。

回収されたCO2第三者による厳格な審査を経てカーボンクレジット化され、JPモルガンはこれを未削減排出のカーボンオフセットに活用する予定。CO280は今後、10か所以上のCDRプロジェクトをネットワーク化し、年1,000万トン規模のCO2除去能力を目指す。

CO280 CEOのジョナサン・ローン氏は、「既存製紙工場のインフラを活用し、規模の経済と高濃度排ガスによって低コストを実現した」と説明。また、「米国の製紙産業の競争力向上と地方経済の活性化に寄与する」との見解を示した。

CO280のCDRモデルは、投資可能でスケーラブルな新クラスのプロジェクトとして注目されており、マイクロソフトに続く大型顧客としてJPモルガンとの契約は業界へのインパクトも大きい。

CO280のCDRは、「Frontier Biomass Sourcing Principles」「Carbon Direct Biomass Sourcing Principles」に準拠した持続可能な森林由来の残渣を利用。MRV(測定・報告・検証)も国際基準に準拠し、金融的な追加性も確保している。

JPモルガンのオペレーショナル・デカーボナイゼーション責任者テイラー・ライト氏は、「手頃な価格での大規模CDRの供給は、企業による持続可能性投資の新たな道を切り開く」と評価している。

参考:https://www.prnewswire.com/news-releases/co280-and-jpmorganchase-sign-carbon-removal-offtake-agreement-unlocking-investment-in-the-us-pulp-and-paper-industry-302459618.html