Climeworksが最適化CDRポートフォリオを公表

村山 大翔

村山 大翔

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炭素除去(CDR)大手のクライムワークス(Climeworks)は9月18日、企業が効率的かつ低コストでCDR目標を達成できるよう設計した「最適化CDRポートフォリオ・ブループリント」を発表した。同社によると、2050年までに年間6〜16ギガトンのCO2除去が必要とされる中、この新モデルはコスト削減と導入加速を両立させ、持続可能な地球環境の限界を尊重するという。

リード文で強調されているのは、単一の手法では不十分であり、森林再生やマングローブ、バイオ炭ERW、バイオエネルギー炭素回収・貯留(BECCS)、直接空気回収・貯留(DACCS)といった多様な手法を組み合わせる必要性だ。クライムワークスは、各技術のコスト進展と導入カーブを組み込み、最適な組成を時系列で提示している。

このモデルに基づく平均的な除去コストは1トン当たり約225ドル(約3万3,000円)。従来の炭素税水準と比べると1トン当たり125ドル(約1万8,000円)以上の削減が可能とされる。また、新興CDR技術の展開速度を業界標準の2倍に高められる見通しで、リスク調整後の投資コストも20〜35%抑えられると試算する。

さらに2030年までに、このポートフォリオは再植林クレジットと同等以上の費用対効果を持つ永続的なCDRを実現できると予測される。2040年以降は土地利用の制約により自然由来手法が頭打ちとなり、DACSやBECCSといったエンジニアード手法が全体の70%以上を占める構成へとシフトする見込みである。

クライムワークスは、本モデルがSBTiやオックスフォード大学の「ネットゼロ整合CDR原則」と整合している点を強調している。企業が導入を決めた場合、同社は採用から実行までの過程を支援し、長期的なコスト削減と脱炭素戦略の安定化を後押しするとしている。

参考:https://climeworks.com/uploads/documents/global-optimal-portfolio.pdf