CF IndustriesがCCS事業を本格始動  年間200万トンのCO2回収・貯留開始 エクソンモービルと共同推進

村山 大翔

村山 大翔

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米肥料大手CFインダストリーズ(CF Industries)は7月15日、ルイジアナ州のドナルドソンビル工場で新たな二酸化炭素(CO2)回収設備を稼働開始した。この施設では、年間最大200万トンのCO2を回収し、エクソンモービル( Exxon Mobil)と協力して地下に長期貯留する。

現在は、石油採掘時の「増進回収(EOR)」技術を用いてCO2を一時的に地中貯留しているが、エクソンモービルは年内にも米環境保護庁(EPA)から恒久的な地質貯留の許可(クラスVI)を取得する見通しだ。許可取得後は、「ローズCCSプロジェクト」と呼ばれる専用貯留サイトへの移行が予定されている。

CFインダストリーズのトニー・ウィル最高経営責任者(CEO)は、「今回の稼働開始は、当社の脱炭素化の取り組みの中でも重要な転換点だ。温室効果ガス排出を削減し、低炭素アンモニアの供給を加速することで、環境対策とビジネス成長を両立する」とコメントした。

新設備の稼働により、CFインダストリーズは年間約190万トンの「低炭素アンモニア」を製造する計画だ。アンモニアは肥料や燃料、産業用途に広く使われるが、通常は大量のCO2を排出する。今回の取り組みにより、CO2排出量を削減したアンモニアが市場に供給される。

また、アメリカの税制優遇「45Q」により、同社は地中貯留するCO2 1トンあたり最大85ドル(約13,400円)の税額控除を受けることができる。

CFインダストリーズは今年4月、ルイジアナ州アセンションパリッシュで建設中の「ブルーポイント・アンモニアプラント」においても、年間約230万トンのCO2を直接空気回収(DAC)技術を使って貯留する契約を1PointFive社と結んでいる。このプロジェクトには、日本のJERAと三井物産も参画しており、総投資額は約40億ドル(約6,240億円)となる。

エクソンモービルは、米国湾岸地域で複数のCCS(CO2回収・貯留)施設を開発している。今回のドナルドソンビル工場でのCCSプロジェクトは、そのネットワーク拡大の一環だ。

CFインダストリーズは、アメリカ、カナダ、イギリスに製造拠点を持つ世界最大級のアンモニア生産企業であり、今後も低炭素社会への移行をリードする方針を示している。

参考:https://www.cfindustries.com/newsroom