CDR(炭素除去)の透明化を推進する米CDR.fyi は5月1日、カーボンクレジットの新たな取引データモデル「v2.0」を正式公開した。契約からカーボンクレジット償却までの全行程をトレース可能にし、急拡大するCDRマーケットの信頼性と成長を後押しする。
2022年に発足したCDR.fyiは、CDR取引の透明性向上を目的に設立された非営利のデータプラットフォームである。当初は数十件だった公開契約も、2025年現在では数百万トン規模の取引と十億ドル超の資金調達が記録されており、市場の複雑化とともに精緻なデータ基盤が求められていた。
今回リリースされた「v2.0」データモデルでは、取引・流通過程における「ダブルカウント排除」や「MRV・レジストリ・ブローカー等の明確な識別」といった精度向上が図られている。
- 契約〜償却の全履歴追跡:1トン単位での契約署名・納品・償却を明示的に紐付け。
- 仲介者の分類強化:マーケットプレイスやブローカーを体系的にタグ付けし、取引構造を明確化。
- MRV・レジストリの区別:従来混同されやすかった業務領域を分離し、市場分析を容易に。
- 注文のステータス拡張:非公開取引や契約破棄(破綻等)も記録対象とする柔軟性を確保。
- 価格と金額の分離記録:価格分析に対応したトン単価・契約総額の独立記録。
- 全データに出典付与:プレスリリース・レジストリエントリー等をソースとして明示。
- 変更履歴の監査可能化:市場信頼性に資する完全な改定ログ管理。
CDR.fyiは「この改良により市場信号の歪みを減らし、CDR市場の次なる成長フェーズに備える」とし、今後はリアルタイム取引情報の提供やMRV業者・保険会社・監査法人の可視化など、さらなる拡張を計画している。
参照:https://www.cdr.fyi/blog/introducing-cdr-fyi-new-data-model