英国のCDRクレジット取引プラットフォーム、スーパークリティカル(Supercritical)は2月11日、CDRプロジェクトの納品リスクに関する包括的レポートを公開した。カーボンクレジット市場が「約束段階」から「実納品段階」へ移行する中、契約通りにカーボンクレジットが納品されないケースが相次いでおり、買い手企業に対してポートフォリオ分散と契約精査の重要性を訴えている。
レポートは、複数年契約による初の大規模納品期を迎えた2025年の実績を分析。最も成熟したCDR手法とされるバイオ炭ですら、同年の予測納品量に対し実績が54%減少したことを明らかにした。さらに全体の4分の3にあたるプロジェクトが納品予測を下方修正しており、「納品不足は構造的な問題」と位置づけている。
CDRクレジットは、実際に炭素が除去される前に前払い契約されるケースが多い。そのため、プロジェクトの資金調達、建設、スケールアップ、運営の各段階で遅延や失敗が生じれば、買い手は契約したクレジットを期日通り—あるいは全く受け取れないリスクに直面する。スーパークリティカルは「納品不足を恐れるのではなく、管理すべき対象」と強調し、次の対策を推奨する。
買い手企業が取るべき3つの対策
- 契約段階で納品不足時の処理方法を詳細に規定
- 単一のCDR手法に依存せず、複数技術への分散投資
- 未実証技術ほど大幅な納品不足を想定した計画策定
多くのサプライヤーは2025年を「パイロットから産業レベルへの移行年」と位置づけていたが、技術リスク、資金調達の遅延、開発・運営上の課題、さらには政策変更や異常気象といった外的要因が重なり、計画の大幅な見直しを余儀なくされた。
スーパークリティカル自身は、カーボンクレジット取引プラットフォームとして、プロジェクト評価時に納品リスクを重視し、初期段階のプロジェクトに伴走支援を行うことで「資金調達可能性と信頼性」の向上を図っている。
日本企業がCDRクレジットを調達する際、欧米先行企業の「納品不足」実績は貴重なリスク指標となる。
特に2030年以降のネットゼロ目標達成には、今から多様な技術への分散投資と契約条件の精緻化が不可欠だ。中小企業も共同購入スキームを活用すれば、リスク分散しながらCDR市場へ参入できる可能性がある。
