パリ協定6条活用へカリブ諸国が「地域連合」結成 カーボンクレジット市場の交渉力を強化

村山 大翔

村山 大翔

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カリブ海諸国が、パリ協定第6条に基づく国際的な炭素市場への参入を加速させている。

UNFCCC(国連気候変動枠組条約)の地域センターが2026年2月に発表した最新報告書によると、ドミニカ、バハマ、ガイアナといった個別国家による取り組みを統合し、地域全体で「カーボンクレジット」の供給体制を構築することが、国際的な資金調達を成功させる不可欠な戦略になるという。小規模経済圏が結束することで、取引コストの削減と市場での価格交渉力を高める狙いがある。

カリブ海の小島嶼開発途上国(SIDS)にとって、カーボンクレジットの創出に伴う専門的な技術検証や法整備にかかるトランザクションコスト(取引費用)は大きな負担となっている。報告書は、各国が個別に二国間協定を結ぶ現状から、地域一体となったアプローチへ移行することで、プロジェクトの規模を確保し、グローバル市場におけるレジリエンスと交渉力を強化できると強調した。

また、カリブ海地域内でのカーボンクレジット創出に向けた準備状況は格差がある。このため、先行する国々の知見を共有し、技術的・制度的なギャップを埋めるための調整戦略が急務となっている。

具体的な動きとして、OECS(東カリブ諸国機構)は「カリブ炭素市場・気候資金アライアンス」の形成を承認した。2025年後半には、ベリーズ、バハマ、ジャマイカ、および東カリブ諸国の代表者がセントルシアに集結。ITMOs(国際的に転転された緩和成果)の創出や、地域横断的なプログラム活動の整合性について協議を行っている。

こうした南南協力は、RCC Caribbean(UNFCCCカリブ地域協力センター)などの主導により、ドミニカ共和国、パナマ、キューバといった国々の間でも活発化している。共通の自然資源である「ブルーカーボン(海洋生態系による炭素吸収)」などを活用し、高い環境整合性を保ちながらカーボンクレジットによる資金流入を最大化させる方針だ。

今後の焦点は、2026年を通じて、この地域連合がどれだけ具体的な「地域限定型カーボンクレジット市場」の枠組みを提示できるかにある。単一国では投資対象になりにくい小規模なCDR(炭素除去)プロジェクトをパッケージ化することで、機関投資家や先進国政府からの大規模な資金を呼び込むことが期待されている。

カリブ諸国の結束は、日本の商社やカーボンクレジット開発企業にとっても「窓口の一本化」という大きなメリットをもたらす。特にマングローブや海草藻場を活用したブルーカーボン分野は、日本企業が高い技術を持つ領域であり、地域連合との包括的な提携を通じて、質の高いカーボンクレジットを安定的に確保する好機となるだろう。