「初期費用ゼロでCO2回収」 CO2回収SaaSサービスを開始 飲料工場で実証

村山 大翔

村山 大翔

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米国時間6月25日、分散型CO2回収技術のCarbonQuest(カーボンクエスト)とエネルギー開発会社Daroga Power(ダロガ・パワー)は、米ワシントン州の飲料製造工場にて、新たな「カーボン・キャプチャー・アズ・ア・サービス(CCaaS)」を正式にスタートした。初期投資なしで利用できる定額制モデルで、中小規模の事業者でもCO2回収が可能になる。

このサービスでは、カーボンクエストが開発したCO2回収システムの導入・運用にかかる費用をダロガ・パワーが全額負担する。利用企業は、複数年のサービス契約を結ぶことで、設備投資なしでCO2回収を始められる。

今回の実証先である飲料工場では、毎年一定量のCO2を回収する契約となっており、回収したCO2は液化して再利用される。これにより、工場は持続可能な液化CO2を安定的に確保できる。

カーボンクエストの「Carbon Management Software(CMS)」が、回収・液化・供給の各プロセスをリアルタイムで管理し、CO2削減量の透明性と検証性を保証する。

このモデルは、初期費用の高さがネックだった食品・飲料業界、製造業、公益インフラなどの排出事業者にとって、有力な脱炭素手段となる。カーボンクエストのシャーン・ジョンソンCEOは、「設備投資が難しい企業でも、確実なCO2削減を実現できる」と述べた。

今回のプロジェクトは、両社が2023年に立ち上げた共同事業「C2Zero」によって運営されている。C2Zeroは、環境関連事業に特化した投資会社SER Capital Partners(SERキャピタル・パートナーズ)の傘下にある。今後は同様のモデルを北米全域に広げる計画だ。

ダロガ・パワーの共同創業者オリ・ムサイエフ氏は、「分散型発電のノウハウを生かし、CO2も資産として活用できる時代が来た」と語る。

カーボンクエストの技術は、中小規模の排出源を対象に、回収したCO2を工場内で再利用したり、他社に供給したりすることが可能である。循環型経済の実現と、サステナビリティやネットゼロ目標の達成を同時に支援できる。

参考:https://carbonquest.com/carbonquest-and-daroga-power-announce-the-first-carbon-capture-as-a-service-project