Carbon CleanとSamsung E&Aが提携 モジュラー型CO2回収を世界規模で加速

村山 大翔

村山 大翔

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11月5日、英カーボンクリーン(Carbon Clean)と韓国サムスンE&A(Samsung E&A)が、産業分野向けのモジュラー型炭素回収システムの展開を加速する戦略的提携を発表した。カーボンクリーンの「CycloneCC」技術とサムスンE&AのEPC(設計・調達・建設)能力を統合し、設置期間を短縮しつつコストを抑え、工場などの操業を中断せずに導入できるプレハブ型装置を共同で提供する。

英カーボンクリーン(Carbon Clean)と韓国サムスンE&A(Samsung Engineering & Architecture, E&A)は、産業部門の脱炭素化を狙い、世界市場でのモジュラー型CO2回収システム普及を加速する包括的パートナーシップを締結した。両社は今年前半、アラムコやMODEC向けの案件で協業実績を重ねており、今回の提携で商業展開を本格化させる。

カーボンクリーンの「CycloneCC」シリーズは、従来設備に比べ最大50%小型化、鋼材使用量35%削減、装置高さ70%低減を実現する完全モジュラー型のCO2回収装置である。1基あたり年間最大10万トンのCO2を回収でき、排ガス中CO2濃度が3〜20%の幅広い産業プロセスに対応可能だ。複数基を「トレイン」として並列設置することで、排出量や操業規模に応じた段階的拡張が可能となる。

サムスンE&Aは、北米・中東・アジアを中心に1,500件超の大型プロジェクトを手掛けたEPCの世界的企業で、同社の「AHEAD」施工モデルは、設計自動化やオフサイト建設を通じて納期短縮とリスク低減を実現する。この手法をモジュラーCCS(炭素回収・貯留)技術に適用することで、短納期・低コスト・高信頼性を同時に達成する狙いだ。

カーボンクリーンのアニルッダ・シャルマCEOは、「サムスンE&Aの大規模商業化能力とEPC技術により、CO2回収を太陽光や風力のように標準化・量産化できる」と述べ、コストと複雑性という従来の導入障壁を取り除く転機になると強調した。

一方、サムスンE&Aのホン・ナムクンCEOは、「カーボンクリーンの革新的モジュラー技術を当社のEPC力と融合し、効率的で信頼性の高い炭素回収システムを世界に展開する」と語った。

カーボンクリーンは英政府や米政府からの支援を受け、セメント、鉄鋼、製油所、廃棄物発電など「削減困難(ハード・トゥ・アベイト)」分野での炭素回収コストを大幅に低減してきた。現在、特許110件超を保有し、50件の商用導入実績を持つ。

両社の連携は、グローバル産業界におけるCO2排出削減の現実的手段として、再エネ依存に偏らない「モジュラー型CDR(炭素除去)市場」の拡大を促す布石となる。

参考:https://www.carbonclean.com/en/press-releases/samsung-ea