フィンランドを拠点とするカーボンエイド(Carbonaide)は1月28日、二酸化炭素(CO2)をコンクリート内部に永久固定する技術の商業化に向け、370万ユーロ(約5億9,200万円)の資金調達を完了した。
本資金は、世界のCO2排出量の約8%を占めるセメント産業の脱炭素化を推進し、高品質な炭素除去クレジットの創出体制を強化するために活用される。
今回の投資ラウンドは、既存株主のバンタン・エネルギア(Vantaan Energia)やレッドストーン(Redstone)、イハントラ・インベスト(Ihantola Invest)が主導した。新たにゼロ・カーボン・フューチャー・グループ(Zero Carbon Future Group)やプロダクト・エコロジー・ホールディング(Product Ecology Holding B.V.)なども参画し、総額370万ユーロ(約5億9,200万円)の資金を確保した。
カーボンエイドが開発した技術は、コンクリートの養生工程においてCO2を注入し、鉱物化させることで炭素を半永久的に封じ込めるものだ。この手法は建設業界の排出削減に寄与するだけでなく、固定したCO2をカーボンレジットとして価値化できる点に大きな特徴がある。
同社は2026年1月、フィンランドの法律事務所に対し、本技術により創出された初の認証済みカーボンクレジットを売却した。すでに国内のコンクリートメーカーであるラカン・ベトニ(Lakan Betoni)やリパ・ベトニ(Lipa-Betoni)の工場への導入が決定しており、2026年初頭から本格的な生産が開始される予定だ。
調達した資金は、グローバルな営業・マーケティング体制の強化に加え、CO2の流量管理やクレジット発行を担うクラウド型ソフトウェア・プラットフォームの開発に充てられる。また、研究開発(R&D)を加速させ、現在はプレキャスト製品が中心の適用範囲を生コンクリートなど他用途へ拡大することを目指す。
カーボンエイドのタピオ・ヴェフマス(Tapio Vehmas)最高経営責任者(CEO)は、今回の節目を機に技術の規模を拡大し、コンクリート工場を「炭素の吸収源(カーボンシンク)」へと変貌させる姿勢を強調した。建設業界において低炭素な建築環境への転換が明確な需要として現れていると、ヴェフマス氏は述べた。
投資家として参画したゼロ・カーボン・フューチャー・グループのパヌ・パサネン(Panu Pasanen)氏は、建設分野の脱炭素化における同社の潜在能力を高く評価した。技術がスケールアップの段階に達した今、成長を支援し、低炭素製品のためのデータ提供でも協力していくと、パサネン氏は指摘した。
同社は今後、デジタル技術を活用したクレジットの透明性向上を図りつつ、2026年内のさらなる国際展開を計画している。
今回の資金調達で注目すべきは、カーボンエイドが単なる「建材メーカー」ではなく、クレジット発行までを一気通貫で管理する「プラットフォーム企業」としての地位を狙っている点だ。
日本のゼネコン大手もCO2吸収型コンクリートの開発で先行しているが、欧州企業は炭素クレジットの「認証」と「デジタル管理」をセットにすることで、金融商品としての価値を早期に確立しようとしている。
国内の事業者にとっても、技術開発だけでなく、いかにして信頼性の高いクレジットを創出し収益源(レベニューストリーム)を多角化するかが、今後の競争力を左右する鍵となるだろう。
参考:https://carbonaide.com/news-en/carbonaide-closes-new-investment-round-to-accelerate-growth/


