フィンランドのCarbonaideとElematicは、CO2を硬化剤として用いるプレキャストコンクリート技術の世界初の商用版を発表した。同技術は、建設資材業界の脱炭素化とコスト削減の両立を可能にし、世界100か国以上への展開が視野に入っている。
新技術は、大気圧下でのCO2硬化によって、コンクリート内部に、二酸化炭素(CO2)を鉱物化し、長期的な炭素固定(carbon sink)を実現する。加えて、セメント使用量の削減により最大50%の排出削減が可能であり、高炉スラグなど副産物と組み合わせれば、実質マイナス排出の「カーボンネガティブコンクリート」も製造できる。
このシステムは、Elematicが展開するプレキャスト壁・循環ラインに初期統合されており、生産スピードと品質の均一性が向上。特に都市部の大型インフラ・再開発プロジェクトにおいて、安定した供給力と環境配慮型の材料としての魅力が高まっている。
背景には、ここ数年のセメント価格の高騰がある。CarbonaideのTapio Vehmas CEOは「CO2をリソースとして建設産業に活用する時代が来た」と述べており、Elematicのグローバル顧客網と合わせて100か国以上へのスケール展開が予定されている。
コンクリート分野は、全世界のCO2排出の約8%を占めるとされ、特に事前製造(プレキャスト)と脱炭素技術の融合は、排出削減とコスト最適化の両面で高い実装性を持つ。
この技術の実用化は、建設業界が直面する「コスト高」「規制強化」「カーボン責任」への具体的な回答となり得る。日本国内でも、再開発エリアやインフラ更新が進む中、同様の脱炭素建材へのニーズは今後さらに高まると見られる。