カナダ・ノバスコシア州で7月15日、海を使って二酸化炭素(CO2)を減らす新たな研究プロジェクトが始まった。カーボン・トゥ・シー・イニシアティブ(Carbon to Sea Initiative)と、海洋研究ネットワークのMEOPAR(ミオパー)は、共同で400万カナダドル(約4億4,000万円)を出資する。
今回の研究では「海洋アルカリ性強化(OAE)」という方法を試す。これは、海水にアルカリ性の物質を加えて海のCO2吸収量を増やす技術だ。これにより、大気中のCO2を効率的に減らすことができると期待されている。
カーボン・トゥ・シーの責任者、アントニウス・ガゲルン氏は「OAEは大きな可能性があるが、まだ分からないことも多い。効果の測定や安全性、ルール作りが必要だ」と話している。
研究はまず、ノバスコシア州の海で行われる。この地域はカナダの「海洋気候テック」の拠点として注目されており、地域の企業やコミュニティとも連携する。
MEOPARは、カナダ政府の「戦略科学基金」の支援を受けて活動している。一方、カーボン・トゥ・シーは世界各地の研究者と協力し、OAEの実用化に向けた研究を進めている。
MEOPARのジェイミー・スヌーク事務局長は「海洋の炭素除去は、健康や経済、安全保障にとっても重要だ。今回のプロジェクトは、社会全体で協力して気候変動に取り組むためのモデルになる」と語った。
さらに、カーボン・トゥ・シーは7月3日、クライメートワークス財団やキューン・クライメート・センターなどと共同で、OAEの実証実験を行うための世界的なネットワーク作りにも着手。研究者や実験場所の募集を始めており、応募の締切は8月15日17時(米東部時間)となっている。
このネットワークができれば、世界中でOAEの研究が加速し、基準づくりや技術開発が進むと期待されている。
参考:https://www.carbontosea.org/2025/07/03/oae-field-network-rfi/