米45Q税制を「固形・液状炭素」に拡大 共和党・民主党議員が共同でCO2除去促進の新法案を提出

村山 大翔

村山 大翔

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2026年2月6日、米国のティム・シーヒー(Tim Sheehy)上院議員(共和党・モンタナ州)とマリア・キャントウェル(Maria Cantwell)上院議員(民主党・ワシントン州)は、二酸化炭素(CO2)回収に対する税額控除制度「45Q」を拡充する「炭素資源革新法(Carbon Resource Innovation Act)」を共同で提出した。

本法案は、現行法で対象が主にガス状の二酸化炭素に限定されている枠組みを改め、固形または液状で回収される炭素を支援対象に含めることで、次世代の炭素除去(CDR)技術の商業化を加速させることを目的としている。

現行の45Q税制は、工業排出源や大気中から直接回収(DAC)されたガス状の二酸化炭素を地中に貯留、あるいは有効利用する企業に対して、1トンあたり最大180ドル(約27,000円)の税額控除を提供している。しかし、メタン熱分解によって水素と共に固形炭素(カーボンブラック等)を生成する技術や、バイオマスを炭化して固形・液状にするバイオマス炭素除去貯留(BiCRS)などの新技術は、回収形態が「ガス」ではないという理由で、これまで税制優遇の適用が不透明な状況にあった。

提出された法案では、新たに「固形または液状炭素回収施設」という定義を設け、年間1,000メトリックトン(1,000トン)以上の炭素を回収・検証する施設を45Qの対象に加えることを規定している。回収された炭素量は、二酸化炭素換算(CO2e)で算出され、地中貯留だけでなく、大気中への放出を防ぐ条件を備えた地下貯蔵庫や、特定の産業利用も認められる方針だ。

シーヒー議員は、この法案が森林管理と火災対策の強化に直結すると強調している。

これまで廃棄物として処理されていた低価値の森林バイオマスを炭素資源として市場に乗せることで、農家や森林所有者に新たな収益源をもたらすと同時に、山火事の燃料となる枯死木の除去コストを削減する狙いがある。これは、米国内のエネルギー自給率向上と、地域経済の活性化を両立させる超党派の取り組みとして注目されている。

法案は今後、上院の専門委員会に付託され、詳細な審議が行われる予定である。

2025年に成立した「OBBB法(One Big Beautiful Bill Act)」によって45Qの税率が大幅に引き上げられたことを受け、今回の定義拡大が実現すれば、炭素除去市場への民間投資はさらに多様な技術分野へと広がることが期待される。

今回の「炭素資源革新法」は、炭素除去(CDR)業界にとって非常に大きな「ミッシングリンク」を埋める動きと言える。特にバイオ炭やメタン熱分解といった、物理的に「ガスではない」炭素を扱う企業にとって、45Qという強力な財政支援への道が開かれることは、事業の採算性を劇的に改善する可能性がある。

日本企業においても、バイオ炭の農地施用など固形炭素の活用技術は先行している分野であり、米国でのこうした法整備は、グローバルな炭素クレジット価格の指標や技術スタンダードに波及するため、今後の審議の行方を注視すべきだ。

参考:https://ciosenus.app.box.com/s/6mjooezwu795j0is9nq7r2lncx63mr2r