欧州の気候政策シンクタンク、カーボンギャップ(Carbon Gap)は8月20日、炭素除去導入準備評価(Carbon Removal Readiness Assessments、CRRA)の第2段階として、フィンランド、ドイツ、イタリア、ポーランド、スペインの5カ国における炭素除去(CDR)の導入可能性を調査していると発表した。各国政府や産業界、市民との協働を通じて「実行可能なロードマップ」を策定し、規制設計やインフラ整備、研究開発支援につなげる狙いだ。
同プロジェクトは2024年に第1段階を終了し、フランスとノルウェーにおける初の国別CDRロードマップを作成した。第2段階では、CDRの理論的ポテンシャルや政策議論の進展度を基準に選定した5カ国を対象に、資源マッピングや政策枠組みの分析、利害関係者インタビュー(各国15件以上)、市民パネル(フィンランド、ドイツ、イタリア、ポーランドで実施済み)を進めている。
カーボンギャップは「データに基づく現実的な手法」で各国の除去能力を評価し、国情に合わせた最大導入規模や適切な技術パスウェイを示すことを目指している。各ロードマップは研究課題の整理、規制の欠落部分、必要インフラ、導入インセンティブを明確化し、コスト試算や資金調達方法も含めて提示する予定だ。
今後は、9月4日にヘルシンキ、10月上旬にマドリードでワークショップを開催し、フィンランドとスペインにおけるロードマップ共創を本格化させる。カーボンギャップは「単なる戦略ではなく、国の関係者が共有できるビジョンを築く場にしたい」と呼びかけている。
さらに、プロジェクト対象外の国向けには、同団体独自のCRRA手法をもとにした無料のオープンアクセス型ツールキットを公開する。政策立案者や研究者、市民団体が自国のCDR導入能力を自己診断できる仕組みで、国際的な共通言語としての普及を狙う。
この取り組みは、米グラントハム環境保護財団(Grantham Foundation for the Protection of the Environment)の支援を受けて進められている。欧州全体でのCDR政策形成に影響を与える可能性が高く、日本にとっても国別導入戦略の策定や市場設計に示唆を与える事例となりそうだ。
参考:https://www.linkedin.com/pulse/carbon-removal-readiness-assessments-underway-finland-germany-djdse