欧州初のCO2輸送船「Carbon Destroyer 1」が進水 北海への液化CO2貯留開始へ

村山 大翔

村山 大翔

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英INEOSエナジーと蘭Royal Wagenborgは、欧州初となる液化CO2の洋上輸送船「Carbon Destroyer 1」の進水式を5月に実施した。同船は、商用規模でのCCS(炭素回収・貯留)バリューチェーン構築を目指す「Project Greensand」の一環として運用される。

進水式はオランダ・デルフザイルのRoyal Niestern Sander造船所で行われ、Catherine Ratcliffe夫人が命名を担当した。

北海でのCO2貯留に向け、欧州全土と結ぶ「仮想パイプライン」

Carbon Destroyer 1は、低温・高圧下での液化CO2輸送に対応するよう設計されており、Project Greensandの主要航路であるデンマーク・エスビャウ港と北海のNini West貯留施設を結ぶ。

現在建設中のエスビャウ港のCO2ターミナルには、6基の大型貯蔵タンクが整備される予定で、デンマーク国内のバイオガス施設などからCO2を受け入れ、船への積載と洋上貯留へとつなげる。

CO2は、北海の海底約1,800メートルにある枯渇油田に圧入され、長期的かつ安全な形で貯留される見込みだ。

2025年末からの商業運用に向けて

船舶はWagenborgの「EasyMax」設計をベースに、海事安全性と環境基準を満たすよう特別に改良された。Carbon Destroyer 1は、初のCO2専用輸送船として、欧州の脱炭素に向けた「ゲームチェンジャー」となることが期待されている。

INEOS Energy EuropeのCEO、マッズ・ウェング・ガーデ氏は「この船が商用規模のCCS普及に不可欠な要素だ」と述べ、欧州でのCO2貯留拡大に向けた布石であることを強調した。

本船は2025年末から2026年初頭にかけて本格稼働する予定で、Project Greensandでは初年度に40万トン、2030年までに年間最大800万トンのCO2処理を目指す。

参考:https://www.ineos.com/businesses/ineos-energy/news/ineos-and-royal-wagenborg-launch-the-first-european-built-offshore-co2-carrier-for-carbon-capture-and-storage/