ノルウェーの炭素回収技術企業キャプソル・テクノロジーズ(Capsol Technologies)は9月17日、欧州の金属生産プラントにおいて排ガス終端型技術「CapsolEoP(End-of-Pipe)」の導入可能性を検証するエンジニアリング調査を受注したと発表した。同社が金属産業を対象とするのは初めてで、年間数十万トン規模のCO2回収を見込む。
金属製造は世界のCO2排出量の約1割を占める主要排出源であり、製錬時の膨大なエネルギー消費に加え、化学反応由来の排出が避けられない。このため再生可能エネルギーの利用拡大だけでは十分な削減は難しい。キャプソルの技術は外部スチームを不要とし、低エネルギーで大規模回収を可能にする点で従来のアミン法と差別化される。
キャプソルの最高技術責任者(CTO)カト・クリスチャンセン氏は「当社はすでにバイオCCS、セメント、ガスタービン向けで実績を重ねている。今回の金属案件や精製所、石灰分野での調査は、我々の技術がより広範な“難削減産業”で有効であることを示すものだ」と述べた。
欧州では自動車・建設業界を中心に低炭素鋼材への需要が急増し、規制当局も排出基準を強化している。こうした潮流を背景に、金属セクターは炭素回収の重点対象と位置付けられている。
キャプソルは既に欧州の大規模施設で最終投資決定(FID)を得たプロジェクトを持ち、ライセンス供与やCapsolGo®によるデモンストレーションを展開中である。今回の調査結果は、鉄鋼をはじめとする重工業におけるCO2回収技術の普及に弾みをつける可能性がある。
今後は、欧州連合(EU)の排出取引制度(EU ETS)や各国の炭素価格政策とも連動し、金属産業のカーボンクレジット創出や低炭素製品市場形成に直結する展開が注目される。