ノルウェーのカーボンキャプチャー企業カプソル・テクノロジーズ(Capsol Technologies ASA)は8月29日、欧州で進行中のバイオエネルギー炭素回収・貯留(BECCS)計画において、自社技術「CapsolEoP®」が次段階のエンジニアリング契約に選定されたと発表した。計画は年間50万トン以上のCO2を回収する規模で、カプソルは2025年第3四半期までにプレFEED(基本設計前段階)の作業を完了する見通しだ。
同社のウェンディ・ラム最高経営責任者(CEO)は「今回の選定は、ストックホルム・エクセルジ(Stockholm Exergi)の世界初となる大規模BECCS計画で当社技術が建設段階に入った流れに続く重要な前進だ。最終的な技術選定は未定だが、この段階での参画は当社の競争力に対する強い信任の証だ」と述べた。
CapsolEoP®は特許取得済みの排熱回収システムを備え、回収した熱を地域熱供給ネットワークに還元できる点が特徴で、バイオマス発電所のエネルギー効率を高める効果がある。安全衛生(HSE)の面でも評価が高い。
ラム氏はさらに「自主的な炭素除去(CDR)市場の取引量は2025年に入ってすでに2024年の記録を上回った。バイオマス発電所におけるカーボンキャプチャーの魅力は一層強まっており、排出削減に加え、CDRカーボンクレジット販売による追加収益源として事業性を高めている」と指摘した。
カプソルは累計で年間500万トン以上のCO2回収を見込む成熟した案件群を抱える。2025年3月には、ストックホルム・エクセルジがカプソル技術を導入した世界初の大規模BECCS計画で最終投資決定(FID)に踏み切っている。また、欧州各地の廃棄物発電所で「CapsolGo®」を用いた6件の実証試験を実施し、エネルギー回収分野でも適用を広げつつある。
今回の欧州計画での採用は、CDRカーボンクレジット需要の拡大と並行して、カーボンクレジット市場におけるBECCSの商業性を裏付ける事例となる。