英国初の「バイオ炭カーボンコード」クレジット発行、CapCharが8.6トンCO2分供給

村山 大翔

村山 大翔

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英国の炭素除去(CDR企業CapCharは9日、建築設計事務所ベネット・アソシエイツ(Bennetts Associates)との間で締結した事前購入契約に基づき、初回となる8.6トンのCDRクレジットを発行・納品したと発表した。これは50トン相当の契約の一部で、同社独自の「バイオチャーカーボンコード」下で初めて正式認証された事例となる。

当該クレジットは、英コーンウォール州の農場でバイオマスを原料にバイオ炭を生成した企業Restordによって創出された。CapCharが提供する現地型熱分解技術により、農業廃棄物を炭素として土壌に固定することで、高いトレーサビリティと恒久性を両立したCDRとして認証された。

発行価格は1トン当たり約270ドル(約4万2,000円、£200)と、市場平均を大きく上回る設定。CapCharによれば、「地域密着型の高品質な除去手段」に対する国内企業からの関心の高まりが背景にある。

CapChar共同創業者アダム・サミュエル氏は「単なる取引ではなく、英国発の除去技術への信認表明だ」と述べ、「クレジットを地域から調達したいという企業の姿勢が強まる中、ベネット社やRestordとの連携は、英国内除去市場に実質的な変化をもたらす」と指摘した。

ベネット・アソシエイツは、自社の排出削減目標がSBTi(科学的根拠に基づく目標イニシアチブ)に承認されている建築事務所であり、既に数年にわたりCDRを購入してきた。今回の国内調達について、上級アソシエイトのベン・ホプキンス氏は「実際に触れられるほど身近な除去である点に安心感がある」と評価している。

一方、Restord創業者トム・プレヴァイト氏は「炭素市場の健全性は現場とのつながりにかかっている」と強調。「われわれがCapChar登録簿で初めて引き渡したクレジットが、英国を代表する建築事務所のネットゼロ達成に貢献することは、国内除去市場のスケーラビリティを示すものだ」と述べた。

CapCharの「バイオチャーカーボンコード」は、2025年初頭に英国で独自開発されたもので、透明性・恒久性・地域貢献性の3要素を備えた新しいCDR基準として注目されている。今後、同コードを用いた追加発行が年内に予定されており、6月末までに残る第2便の供給計画が策定中である。

参考:https://www.restord.earth/news/restord-delivers-first-verified-carbon-removals-a-milestone-for-uk-biochar