ブーミトラ(Boomitra)が手掛ける「東アフリカ草地回復プロジェクト」が8月20日、国際認証機関であるVerraの「検証済炭素基準(Verified Carbon Standard)」に正式登録された。ケニアにおける草地炭素プロジェクトとしては初の登録で、同社が持つ耕作地・草地双方の土壌炭素プロジェクトが認証を取得する初の事例となった。
このプロジェクトはケニアの乾燥草地2万2,311エーカー(約9万ヘクタール)を対象に、過放牧や外来種、降雨パターンの変化で劣化した土壌を回復させる。地元の牧畜民は回復的放牧を導入し、植生の再生、生物多様性の向上、干ばつなど気候変動への適応力強化に取り組む。事業期間20年間で、9万3,371トンのCO2換算の温室効果ガス(GHG)を除去できる見通しだ。
ブーミトラは人工衛星とAIを活用したヴェラ承認の測定・報告・検証(MRV)システムを導入しており、従来高額だった土壌サンプリングを大幅に削減する。これにより広域でのコスト効率的な炭素除去が可能となる。
ブーミトラ創業者兼最高経営責任者(CEO)のアーディス・ムーシー氏は「東アフリカでの活動は、気候技術と牧畜民リーダーシップの融合が何を可能にするかを示すものだ。AI監視とコミュニティ主導の放牧管理を組み合わせることで、草地を再生し、乾燥地帯に意味あるカーボンファイナンスをもたらす」と述べた。
現地パートナーであるアースエイカー(EarthAcre)のCEO、ヴィラジ・シカンド氏も「地域社会との信頼と知識を基盤にした成果だ。牧畜民と協働し、放牧計画を策定し、データ収集を支援してきた」と強調した。
ブーミトラは既にアフリカ、アジア、南北アメリカで5件のプロジェクトを登録済みで、累計1,000万トンのCO2除去を達成している。農民・牧畜民10万人以上の生活改善に寄与しており、今後も土壌の「再炭素化」によるギガトン規模の炭素除去を目指す。
今回の草地登録は、今年初めに登録された「東アフリカ炭素農業プロジェクト」に続く成果であり、ケニアで耕作地と草地双方をカバーする唯一の企業として、土壌炭素市場における地位を固めつつある。今後のクレジット発行は2026年以降とみられ、国際炭素市場での注目度が一層高まる見通しだ。
参考:https://boomitra.com/east-africa-grassland-restoration-registration/