航空大手ボーイング マレーシアで「海水利用型CDR」実証へ

村山 大翔

村山 大翔

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マレーシア・サラワク州政府のクリーンエネルギー戦略を背景に、ボーイング(Boeing)、セディックエナジー(SEDC Energy Sdn Bhd)、炭素除去(CDR)技術企業エクアティック(Equatic Inc)の3者は9月3日、同州で海水利用型の炭素除去(CDR)実証施設を建設する覚書(MoU)を締結した。実証は2026年の稼働を予定し、年間365トンのCO2を除去するとともに、10トンのグリーン水素と80トンの炭酸カルシウムを副産物として生産する。これらの収益化により運営コストの一部を賄う狙いだ。

セディックエナジーのロバート・ハーディン最高経営責任者(CEO)は「炭素除去と水素の双方を推進する重要な一歩だ。実証段階を超えて拡大するには適切なエコシステムが不可欠だ」と強調した。

ボーイングはマレーシアとの長年の協力関係を踏まえ、事業開発支援を行う。航空機更新、持続可能燃料、先端技術、効率改善を柱とする同社の脱炭素戦略の一環でもある。

一方、エクアティック創業者で最高技術責任者(CTO)のガウラブ・サント氏は「CDRとグリーン水素は低コスト脱炭素化の中核だ。サラワクは水力発電基盤と水素戦略を持ち、商業化を加速する理想の拠点になる」と述べた。

同施設は2026年に稼働開始予定で、サラワクを東南アジアにおける新興CDR・水素イノベーションの拠点に位置付けるものとなる。今回の協業は、州政府が掲げる再生可能エネルギー主導の成長戦略と歩調を合わせるものであり、航空分野を含む国際的な脱炭素化への貢献が期待される。

参考:https://www.equatic.tech/articles/collaboration-to-develop-seawater-based-carbon-removal-project-in-sarawak