「データ連携が不透明性を解消」カーボンクレジット市場の効率化へ、BlueLayerとAbatableが戦略提携

村山 大翔

村山 大翔

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カーボンクレジットのプロジェクト開発者向けオペレーティングシステムを提供するブルーレイヤー(BlueLayer)と、カーボンクレジット調達・インテリジェンスのアバターブル(Abatable)は、このほど戦略的パートナーシップを締結した。この提携は、開発者がバイヤーや投資家とプロジェクト情報を共有するプロセスを簡素化し、ボランタリーカーボンクレジット市場(VCM)全体の透明性強化を目的としている。プロジェクトのデータ共有を標準化・自動化することで、高品位な炭素除去(CDR)および自然ベースのプロジェクトが、より効率的に企業の需要と結びつくことが期待されている。

煩雑な調達プロセスをデータ連携で一掃

企業向けに質の高いカーボンプロジェクトのポートフォリオ構築を支援するアバターブルにとって、信頼性の高いプロジェクトデータへの継続的なアクセスは、気候戦略の実行に不可欠な要素となっている。一方、BlueLayerのシステムを利用する開発者は、これまで標準化されていない入札(RFP)や調達プログラムにおいて、個別の書類作成や手動でのデータ転送、類似の質問への繰り返し対応といった煩雑な手続きに直面していた。

今回の統合により、開発者はブルーレイヤー上に保存されている標準化されたプロジェクト情報を用いて、アバターブルが主導するRFPや調達プログラムに効率よく参加できるようになる。具体的には、RFP回答、クレジット在庫、価格設定、納品スケジュールといった選択したデータを、開発者側が公開範囲を完全に管理しながらアバターブルと直接共有することが可能になる。また、アバターブルのテンプレート化された入札ワークフローがブルーレイヤーのホスト情報から自動的にデータを引き出すため、二重入力の労力を削減し、提出物の完全性が向上する見通しだ。

企業の排出削減目標達成に貢献

このパートナーシップは、買い手である企業側にも明確な利益をもたらすとブルーレイヤーは説明している。アバターブルのクライアント企業は、気候変動対策ポートフォリオを策定する際に、信頼性が高く比較可能なプロジェクトデータを必要としている。今回の提携は、サプライヤーの裾野を広げ、自然ベースとエンジニアド除去の両分野にわたるデータ品質向上に寄与するとみられている。

ブルーレイヤーは、この協業がより効率的で信頼性の高いカーボンクレジット市場に向けた進展を示すものだと強調した。統合によって、バイヤーはより高い確信度で排出削減目標を達成できる一方、開発者は別々の調達手続きのために繰り返し情報を入力する手間から解放され、高完全性のプロジェクト提供に集中できるようになる。このシステムは、世界中の500以上のプロジェクトで使用され、合計100億ドル(約1.4兆円)以上のカーボン在庫価値を管理しているという。

この提携は、データフローの効率化を通じて、市場参加者すべてにとってより信頼性が高く、インパクトのあるカーボンクレジット市場を構築するための大きな一歩となる。

参考:https://abatable.com/blog/abatable-partners-with-bluelayer/