ブロックチェーンとAIで「透明な炭素取引」実現 マイクログリッドの排出削減と効率化

村山 大翔

村山 大翔

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8月17日に英科学誌サイエンティフィック・レポーツで発表された研究によると、ブロックチェーンとAIの一種であるInterval Type-2ファジィ制御(IT2-FLC)を組み合わせた新しい仕組みが、マイクログリッド間での電力とカーボンクレジットの取引を大幅に効率化できることが示された。リアルタイム制御と自動化された市場取引により、CO2排出削減と信頼性の高い取引を同時に実現する点が注目される。

研究チームは、再生可能エネルギーを活用するマイクログリッドが普及する中で、電力の安定運用とカーボンクレジット取引の両立が大きな課題になっていると指摘した。従来の仕組みは中央集権的で、取引が遅れたり、不透明さが残ったりする問題があった。

新たに提案された仕組みでは、AIの一種であるIT2-FLCが需要や発電量、蓄電池の状態をリアルタイムに分析し、最適な電力利用とカーボンクレジット取引を判断する。価格の決定はブロックチェーン上で「継続的オークション」として自動的に行われ、売買はスマートコントラクトによって即時に確定する。これにより、人手を介さずに透明で安全な取引が可能となった。

さらに、システム全体が常にフィードバックを取り込みながら動作するため、取引と運用を継続的に改善できる。シミュレーションでは、CO2排出量の削減と市場の拡張性の両立が確認された。

研究者らは「AIとブロックチェーンの組み合わせは、分散型エネルギーの協調、即時の意思決定、安全な取引の3つを同時に実現できる」と強調している。

参考:https://www.nature.com/articles/s41598-025-12562-x