英Block Energy 東欧初の「永久CO2鉱物化」実証に成功 ジョージアを脱炭素拠点へ

村山 大翔

村山 大翔

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英国系資源開発企業ブロック・エナジー(Block Energy plc)は8月26日、ジョージアで二酸化炭素(CO2)を地下で鉱物に変換し永久的に固定する初の実証試験を完了したと発表した。注入量は13.6トンで、従来型の炭素回収・貯留(CCS)技術に比べ、長期的な監視コストを大幅に削減できる可能性がある。同社は4〜6か月間の検証を経て、第三者認証を受けた上で商業化を目指す。

今回の試験は首都トビリシ近郊のパタルズエリ・サムゴリ油田で実施された。CO2は水300立方メートルと蛍光トレーサーとともに注入され、圧力は120〜130バールで管理された。注入および観測井の両方で監視を行った結果、地表での漏洩は確認されなかった。英オイルフィールド・プロダクション・コンサルタンツ(OPC)の2023年調査では、同油田の貯留容量は中位推計で1億5,150万トンと算定されている。

鉱物化はCO2を炭酸カルシウムとして岩石に固定する仕組みで、4D地震探査のような高コスト監視を不要にする。ブロック・エナジーは今後、地下サンプルを採取して鉱物化の進行を確認する計画だ。

ブロック・エナジー最高経営責任者(CEO)のポール・ヘイウッド氏は「今回の注入は産業界やカーボン市場との商業連携に道を開くものだ」と述べた。パートナー企業であるインドラムラ・コーポレーション(Indorama Corporation)グループディレクターのプラカシュ・ケジリワル氏も「EU炭素国境調整措置(CBAM)に対応する実践的な道筋を示すものだ」と指摘した。

同社は直接空気回収(DAC)技術との統合も視野に入れており、インドラムラを含む複数の産業パートナーと商業展開に向けた協議を進めている。ジョージアはEUとの自由貿易協定を持つことから、将来的に域内排出源の削減需要を取り込む可能性が高い。

今回のパイロットが鉱物化を立証すれば、ブロック・エナジーは東欧で初の「完全に検証された恒久的CO2貯留ソリューション」を提供する企業となり、同国を先進的な炭素削減技術の拠点へと押し上げる見通しだ。

参考:https://polaris.brighterir.com/public/block_energy/news/rns/story/x40l8ow