AI電力不足に「廃棄物発電」で挑戦 米BioEnergy、バイオ炭でカーボンクレジット市場参入へ

村山 大翔

村山 大翔

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米再エネ企業BioEnergy Development Inc.(CNER)は8月14日、木材の端材や家畜の糞尿を使い、現地で発電できる「移動式バイオリアクター」を発表した。1GWh規模のマイクログリッドを構築でき、AIや暗号資産のような電力多消費分野に低コストで電力を供給する。同時にバイオ炭を活用した炭素除去(CDR)由来のカーボンクレジットを販売する方針だ。

CNERは米ワシントン州スポケーンを拠点に、廃棄物を直接エネルギーに変える「分散型発電システム」を展開している。コンテナサイズの装置を使うため、数か月で稼働でき、従来の原子力や大規模発電所のように数年単位の準備を必要としない。

バイオリアクターは、廃棄物から3つの価値を生み出す。まず、合成ガスを発電に使い、AIや工場の電力をまかなう。次に、炭素を長期固定できるバイオ炭を生産し、土壌改良にも活用。さらに、高品質のバイオカーボンを産業資材として供給する。

特に注目されるのはバイオ炭を活用したカーボンクレジットだ。バイオ炭は数百年以上炭素を閉じ込められるため、企業の脱炭素戦略において「耐久的CDR」として国際的に需要が高まっている。CNERは余剰バイオ炭を土壌活性剤と混ぜ、企業向けに信頼性の高いCDR由来のカーボンクレジットを提供する計画だ。

CNERのゲイリー・バートロメウCEOは「AIや高性能コンピューティングは今すぐ安定した電力を必要としている。私たちの技術は送電網の制約を解消し、同時に厄介な廃棄物を処理する」と強調した。

同社はカナダ・アルバータ州に製造拠点を持ち、石油・ガスや鉱業の知見を活かして大規模なシステム開発を進めている。現在は大手テック企業や工場と共同導入を協議しており、1.5MWhから1GWhまでのマイクログリッド構成を提案できるという。

参考:https://bioenergydev.com/2025/08/14/bioenergy-development-inc-pr4/#aboutsection