パプアニューギニア、森林由来のカーボンクレジット事業を解禁 3年ぶりに市場再開へ

村山 大翔

村山 大翔

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パプアニューギニア政府は3月28日、森林を活用したカーボンクレジットの自発的取引制度に対する停止措置を即時解除すると発表した。同国のキレパ環境気候変動相がAFP通信に明らかにしたもので、新たな規制と運用指針の整備を経て、2022年から続いたモラトリアムの解除に踏み切る。

パプアニューギニアは世界で3番目に広大な熱帯雨林地帯を有し、地球規模の炭素吸収源として注目されている。近年、外国企業が同国の森林を対象にカーボンクレジット事業を展開していたが、管理の不備や不正疑惑が相次いだため、2022年に自発的市場の一時停止が決定された。

キレパ環境相は「われわれはカーボン市場の規制と指針を整備した。これにより、自発的カーボン市場の活動を再開できる」と述べた。新制度の下では、森林の保全によって生じる炭素削減量を国際市場でクレジット化し、販売できるようになる。

以前は村の長老との直接契約でプロジェクトが進められていたが、透明性の欠如から土地紛争や不平等な分配が問題となっていた。また、一部の外国企業が「カーボン・カウボーイ」と称され、利益目的で不正に関与していたとの批判も出ていた。

パプアニューギニアは国際的なREDD+枠組みに則り、シンガポールとの間で二国間協定の交渉を進めるほか、アフリカなどで活動するドバイの企業とも覚書を交わしている。政府関係者は「国際カーボン市場での主導的な役割を目指す」と強調している。

今回の解禁により、同国の豊かな生態系と土地所有制度を前提としたカーボン市場が、適切な管理のもとで再始動することになる。