英カーボンクレジット市場、2035年までに2000億円の税収と13万人の雇用創出へ 

村山 大翔

村山 大翔

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BeZero Carbonが報告書「From Risk to Reward」を発表、自然・技術・制度インフラの3分野で経済効果を予測

英BeZero Carbonは2025年5月、英国のカーボンクレジットマーケットが2035年までに最大2,000億円(約10億ポンド)の税収と13万5,000件のスペシャリストの創出につながるとの調査結果を発表した。これは英国の「デジタルサービス税」の1.5倍に相当する規模で、同国を世界的なカーボンマーケットの中心地に押し上げる潜在力があるという。

報告書「From Risk to Reward」によると、新たな雇用のうち約8万人が生態系保全、農業、林業などの自然由来プロジェクトで、約3万人がDAC施設などの技術系除去プロジェクト、残る2万5,000人が分析、法務、保険などの市場インフラ領域での雇用と見込まれている。

また、カーボンクレジットマーケットの拡大は年間2兆円(約100億ポンド)を高インパクトな気候プロジェクトに流入させ、英国の2024年の国際援助予算に匹敵する規模に達するとされた。この資金は国内排出削減目標の前倒し達成に加え、世界的な環境再生への貢献も可能にする。

2035年には、英国の国内炭素除去量が年間2,000万トン近くに達し、政府目標を5年前倒しで上回る可能性も指摘されている。

同社は提言として、英国排出量取引制度(UK ETS)へのCDR統合、企業向けインセンティブ設計、適切な規制導入を求めている。BeZero Carbonのトミー・リケッツCEOは「英国は科学、金融、政策の基盤が整っており、政府の明確な指針があれば世界のカーボン市場の首都になれる」と述べた。

また、英気候変動担当閣外大臣ケリー・マッカーシー氏も「カーボン市場は雇用と経済成長を支えると同時に、気候危機の解決やクリーンエネルギー移行の加速に必要な民間資金を呼び込む」と評価している。

参照:https://bezerocarbon.com/insights/from-risk-to-reward-making-the-uk-the-carbon-markets-capital-of-the-world