カーボンクレジット事業を手がけるカナダのベース・カーボン(Base Carbon Inc.)は9月3日、インド・ウッタルプラデシュ州で進める植林プロジェクトに関し、追加的な拡張オプションを取得したと発表した。これにより、20年間のプロジェクト期間中に最大2,000万本の植樹を新たに実施できる見通しだ。
今回の契約では、同社の完全子会社ベース・カーボン・キャピタル・パートナーズ(BCCPC)が、追加費用を伴わずに2段階の拡張オプションを行使できる権利を得た。各オプションで1,000万本ずつの植樹が可能となり、これに伴って発行されるカーボンクレジットも従来とほぼ同条件で取得できる。
ベース・カーボンのマイケル・コスタ最高経営責任者(CEO)は「既存プロジェクトの拡張は、経験豊富なパートナーとともにリスクを低減しながらリターンを高める戦略的手段だ」と述べ、協業先のバリュー・ネットワーク・ベンチャーズ(VNV)との関係強化に期待を示した。
インドのプロジェクトでは、荒廃農地における森林再生を目的に、既に650万本の植樹を完了している。事業は国際カーボンクレジット登録機関ベラ(Verra)に申請済みで、プロジェクトIDは4892。最初のクレジット発行は2026年前半を見込む。
同社はこれまでに約670万ドル(約9.8億円)を投資済みで、総額1,360万ドル(約20億円)のコミットメントのうち残額は主に維持資金に充てられる。維持資金の約400万ドル(約5.9億円)は、初回クレジット販売によって賄う計画だ。
さらに本プロジェクトは、現地農家の生活改善にも焦点を当てる。農地5ヘクタール以下の小規模農家を中心に、柑橘類やグアバ、マフアなど16種類以上の樹種を導入。食料や収入源を提供し、地域の食料安全保障と所得多様化に寄与することが期待されている。