コンサル大手のベインがDAC由来のカーボンクレジット購入 1PointFiveから9,000トン調達

村山 大翔

村山 大翔

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コンサルティング大手のベイン・アンド・カンパニー(Bain & Company)は2026年1月13日、カーボンクレジット開発企業のワンポイントファイブ(1PointFive)から、大気直接回収(DAC)技術によるカーボンクレジット9,000トンを購入することに合意したと発表した。

ベインにとってDACクレジットの調達は初となり、自社の事業活動で排出される残余排出量のオフセットおよび「ネットネガティブ」目標の達成に向けた重要な一歩となる。

今回の合意に基づき、クレジットは2026年から3年間にわたって提供される。炭素除去を担うのは、1PointFiveが米テキサス州で稼働準備を進めている旗艦施設ストラトス(STRATOS)だ。

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同施設は大気中から二酸化炭素(CO2)を直接回収し、地下の地層へ永続的に封入する。9,000トンの除去量は、エコノミークラスの旅客が長距離便で往復約1万回フライトした際の排出量に相当する規模である。

ベインは2021年以降、バリューチェーンを超えた緩和策(BVCM)を掲げ、自社の残余排出量を100%上回る高品質なCDRクレジットを調達する戦略を推進してきた。同社は過去5年間で、多様な技術を背景とした110万トン以上の高品位なCDRクレジットに投資しており、今回のDAC採用はそのポートフォリオをさらに拡充するものとなる。

ベインのチーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)を務めるサム・イズラライト氏は「1PointFiveを当社のCDR技術ポートフォリオに加えることができ、誇りに思う。DAC技術の開発実績と大規模インフラ構築の知見を持つ同社は、この新興分野を牽引する存在だ」と述べ、提携の意義を強調した。

1PointFiveは、米石油大手オクシデンタル・ペトロリアム(Occidental Petroleum Corporation)の子会社であり、50年以上にわたる炭素管理の経験を基盤に、商業規模のDAC事業を展開している。同社のアンソニー・コットーネ社長兼ゼネラルマネージャーは「ベインとの提携は、DAC技術の導入を加速させる重要性を反映している。今回の契約はソリューションの勢いを示すものであり、国内の重要なインフラ整備を後押しする」と指摘した。

ボランタリー炭素市場では現在、従来の「排出回避型」クレジットから、DACのような「技術由来の除去型(エンジニアード・リムーバル)」へと需要がシフトしている。1PointFiveは既にマイクロソフト(Microsoft)やエアバス(Airbus)、アマゾン(Amazon)といった世界的企業とも大口契約を締結しており、高コストという課題を抱えつつも、長期的な気候変動対策としての信頼を固めつつある。

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ストラトス施設の本格稼働とクレジットの供給開始は、今後のDAC市場における価格低減と規模拡大の試金石となる見通しだ。

今回のベインによるDACクレジット購入は、単なる一企業の環境対策に留まらない「市場の転換点」を示唆している。

これまでコンサルティング業界は、森林保全などの回避型クレジットを主流としてきたが、ベインが110万トンという膨大なポートフォリオの一部を物理的な「除去」に振り向けたことは、CDRクレジットの「質」に対する要求が一段階上がったことを意味する。

特に注目すべきは、マイクロソフトやアマゾンといったテック巨人に続き、ベインのような「知のプロフェッショナル」が、高価なDACに先行投資した点だ。

これは顧客企業に対し「真のカーボンニュートラルには、エンジニアード・リムーバル(技術的除去)への投資が不可欠である」という強力なメッセージとなるだろう。

日本企業においても、将来的なクレジット価格の高騰を見越し、今のうちにDACのような永続性の高いソリューションをポートフォリオに組み込む戦略的判断が求められている。

参考:https://www.oxy.com/news/news-releases/1pointfive-and-bain–company-announce-agreement-for-direct-air-capture-carbon-removal-credits/