CO2輸送の新時代へ Aptamus、Entrと提携しLCO2海上インフラ整備を本格始動

村山 大翔

村山 大翔

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フロリダからルイジアナへ。米国初の20,000トン級LCO2船と輸送ハブが連動する新モデル

2025年5月、Aptamus Carbon Solutionsは、ノルウェーのエネルギーインフラ大手Aker Solutionsのコンサルティング部門Entrと提携し、CO2海上輸送・貯留プロジェクト「Carbon Ocean and Storage Transport 20(COAST20)」の中核となる2つの液化CO2(LCO2)ターミナルの設計業務を正式に開始した。

COAST20とは、LCO2を海から地中へつなぐ「脱炭素回廊」

このプロジェクトは、フロリダ州タンパ湾の一時貯蔵・液化ターミナルと、ルイジアナ州バトンルージュの受け入れ・再ガス化ターミナルを両端とする「海上CO2輸送チェーン」を確立するものである。両地点は、米国における炭素インフラ構築の新たな中枢となる見込みだ。

バトンルージュ側の拠点は、既存のCO2専用パイプライン網に接続されており、地中貯留(CCS)への即時搬送が可能となる設計。供給側のタンパ湾では、フロリダ州全域から排出されたCO2を集約・液化する「インターモーダルハブ」の役割を果たす。

設計・運用の中核を担うEntr、Aker Solutionsの技術基盤を結集

EntrはAker Solutionsグループにおける専門エンジニアリング部門であり、300人超のエネルギーインフラ専門技術者を擁する。今回のプロジェクトでは、コスト効率と商業化を前提とした「フロントエンド設計」を主導し、安全かつ拡張性のある端末構築を目指す。

Aker SolutionsのKnud Egil Pedersen副社長(水素・CO2部門)は「Entrのグローバルな知見と北米チームの現場経験を融合させ、安全なCO2の処理・保管・輸送を支える」と述べている。

米国初の20,000トン級LCO2輸送船も建造へ

COAST20では、米国内で初めて建造される20,000トン級LCO2タンカーの設計も含まれており、米エネルギー省(DOE)からの資金支援も一部受けている。これにより、CO2輸送の脱炭素サプライチェーンの自国生産化が現実のものとなりつつある。

Aptamusのジェフリー・ロス・ウィリアムズ社長は、「COAST20は、フロリダの主要排出源に対して安全かつ効率的な排出削減ソリューションを提供する。また、激甚化する気候災害に直面する同州にとって重要な脱炭素インフラだ」と強調した。

CCUSの海上モデル構築へ

フロリダは米国内で3番目にCO2排出量が多い州であり、同州におけるCO2回収インフラの整備は急務とされている。COAST20は、海上輸送×CCUSのモデルケースとして注目されており、他州や他国への展開も視野に入る。

参照:https://www.aptamus.com/newsroom/aptamus-carbon-solutions-selects-entr-for-lco2-terminaldesign-and-engineering