スイスの炭素除去(CDR)金融機関「アルティチュード」 東南アジアで「バイオ炭カーボンクレジット5万トン超」を購入へ

村山 大翔

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スイスの炭素除去(CDR)金融機関アルティチュード(Altitude)は8月28日、東南アジアのバイオ炭施設からカーボンクレジットを5万トン以上購入する契約を結んだ。供給するのは地域の開発事業者グリーングローで、発行されるカーボンクレジットはすべてCDR専門の国際認証機関Puro.earthで検証・登録される。アルティチュードにとっては耐久性の高い炭素除去プロジェクトの世界的ポートフォリオ拡大につながる契約となる。

グリーングローは農業廃棄物を高温熱分解(パイロリシス)によってバイオ炭に転換し、数百年単位で炭素を安定的に固定する技術を活用している。副次的に農家の収入源創出、土壌改良、野焼きや不適切な廃棄物処理による環境被害の低減など地域に裨益する効果もある。

アルティチュードの最高経営責任者(CEO)ダニエル・ベンジャミン・シュルツ氏は「東南アジアでの新たな取り組みにより、当社は耐久的なCDRの世界的リーダーとしての役割を強化している。長期オフテイク契約があることで開発者は高品質なバイオ炭CDR事業を拡大できる」と述べた。

一方、グリーングローの共同創業者マイケル・ケルシュナー氏は「アルティチュードの5万トン超の購入契約により、インフラ強化と域内拡張が可能となる。スケーラブルかつ検証可能なバイオ炭CDRが気候変動対策と持続可能な開発を両立できることを示したい」と強調した。

アルティチュードはこれまでも欧州や北米でCDR事業を組み込んでおり、今回の契約はアジア市場への本格展開を意味する。今後も多様な地域で検証済みのカーボンクレジットを組み合わせ、グローバル規模で金融収益と地域開発、気候安定化を同時に進める方針である。

参考:https://www.altitudecarbon.com/news/corcs-greenglow